2018年10月4日 第40号

 朝、目が覚める。薄ぐらい。つい最近迄は、一日の暑さを約束するような暑い強い朝の太陽が差し込んできたのに、あれは一体どこに行ってしまったのか。私は昔から寒がりで、この前の暑さなんてのは東京の暑さに比べればなんでもなく、ましてや今は病後なので暑いほうが寒いよりよい。

 目が覚めても元気よく、さっと立ち上がるわけにはいかない。ゆっくり立ち上がって洗面所に行って、朝御飯が食べられるように準備する。なんといっても自分で立ってお手洗いに行けることが実にありがたい。これは人生最大の問題である。

 その後、キッチンに行ってティーのためのお湯をわかす。その間にパン一片、トースターに入れてジャムやらハムやら取り出す。お茶は昔は、ダージリンを使っていたが、お茶の葉の始末をするのが大変になったので、テトリーのティーバッグを使っていたが、この前セーブ・オン・フードに行ったらセイロン茶のティーバッグを売っていたので、試しに使ってみた。多少、英国のお茶の味がするような気がする。

 ラジオのスイッチを入れて、FMのクラシックの音楽を聞きながら朝飯を食べる。時々、元気よくシンフォニーを奏でるが、普段はモーツァルトだのブラームスだったりするから、朝飯のじゃまにはならない。朝食が終わったら新聞を読む。今どき、新聞なんか取っているオールドファッションの人間は私くらいなものだが、私はすべて紙に印刷されたものでないと読まない。

 ゆっくりやっているとすぐランチである。何を食べようか。私は食べるのが好きだから、ランチをとばすなんてことはもっての他である。食事は大体二つの会社から取り寄せ、お米は自分で炊いたり、エネルギーのある時は自分で料理するから、食べるものには困らない。自分で行けない時には娘が買ってきてくれるので助かる。

 二時半になると自然に眠くなるので椅子に寄りかかって昼寝。ごとごと何やらやっているうちに四時になる。時々チャンネル6のシカゴからの「ジャッジ・ジュディ(Judge Judy)」の放映を観る。あまりバカバカしいのとこういう人もいるのかと参考になるので観る。

 夕食は取り寄せた食品をマイクロオーブン(電子レンジ)で温めて、デザートに果物、ケーキをととのえ、お茶をわかす。食べながらグローバルニュースを観る。その後、チャンネル6でウィール・オブ・フォーチュン(Wheel of Fortune)とジェオパディ(Jeopardy)を観る。ウィール・オブ・フォーチュンは、読んで字の如く、一瞬にして運が変わるのが面白い。これに出場してお金をもうけ、大学に行って運命を変えた女性もいるのだ。頭の働きがニブイ人、さえた人、いろいろいる。事実、運がなくて一寸も当たらない人でも千ドルはもらえる。

 お皿を洗って寝支度をすると、十時になってしまう。それでも一日無事に生きたことを感謝する。

 買い物は二度行った。大丈夫かなと思ったが、ウォーカー(walker)を使ってゆっくりゆっくりマーケットまで歩いた。おかげで待望の「ます」やら「えび」やら、ヨーロピアンソーセージ等買い込んだ。最後に、このマーケットにしかないメープルシロップを買った。10ドル出すのに5ドル出して、もたもたともう5ドル出そうとしていたら、小父さんが「5ドルで良いよ」と5ドル返してくれて、ついでに、メープルバターの小さなびんを私の買い物の中に押し込んだ。えっちらほっちらと三時間もかかった。散歩に行った時、フィッシュ・アンド・チップスの店のところを通ったので寄った。夏も過ぎ、ツーリストも少なくて天候もあまり良くなかったせいかすいていた。英国と同じように新聞紙でくるんでくれるところがニクイ。

 セーブ・オン・フードにも行った。ウォーカーでおたおたしていたらバスの運転手さんが見かねて運転台から降りて、えいやと降ろしてくれた。道路を渡るのに信号はすぐ赤になる。私は未だ渡り切っていない。すべての交通は私のためにストップ。ごめんね。セーブ・オンには冷凍のおでんがあるのだ。白たきがないが、このおでんは相当イケる。ただ、あたためさえすれば良いのだから簡単だ。ただしご飯は自分で炊かなければいけない。

 レストランにも二度行った。この前天皇、皇后陛下がカナダにこられた時、特別にお目にかかるのを許された三人の聖心の同校生の同校会である。四人いたのだが一人は日本に帰国した。幸いすぐ隣りの料理学校だったので、ウォーカーを使って歩いて行った。楽しかった。もう一つは、そこから一寸先のフィッシュカンパニーで、そこのシーフードプラターをぜひ食べてみようと思っていたので、願望を果たしに行った。昔は32ドルだったのに59ドルに上がっていた。なに、かまうものか。いつ死ぬか分からないからね。という訳で、もたもた、よたよた生きています。

 


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