2017年2月9日 第6号

 アメリカの新大統領が中東系外国人の入国を90日停止するという大統領令発行にサインをして実行に移したことにより、大きな問題となりつつある。

 個人的な小生の体験であるが、数年前に日本で同窓会があるので、参加の都合を友が電話で尋ねてきた。それで、1年後の冬ならば都合がつくので、参加の希望を伝えると、幹事の友が皆の都合を合わせ日取りを決めて連絡をくれたが、その夏(8月)にカナダのPRカード(パーマネントレジデンスカード)が切れていることが分かり、急ぎ申請する。

 知人に聞けば、早ければ2、3週間だが、カードの有効期限の前ならともかく、その後では少し手間取るというが、とにかく書類をそろえて、英語の分かる息子に手伝ってもらい、急ぎ申請をする。

 一応はひと安心するが、9月中旬を過ぎても返事はない。飛行機の切符も予約を入れて買わねばならないが、旅行会社の友は、PRカードが来るまで待った方が良いという。

 東カナダにあるイミグレーションに電話を入れて事情を説明をすると、日本で手続きができる書類があるから、Eメールで送るという。それを受け取り、日本でどのくらいの日数でできるのか調べれば、東京のカナダ大使館ではなく、今の手続きはフィリピンのカナダ領事館で一括して受け付けているようで、航空郵便で書類を送り、少なくとも1週間以上はかかる様子。場合によっては健康診断書もいる様子で、これでは予定の日に帰れるかも分からず、結局、自宅で待つことにした。

 そして、PRカードが送られてきたのは、12月の同窓会も終わり、1ヶ月も過ぎた1月であった。

 友には実状を説明してあやまりはしたが、申し訳ないと思い、同窓会の当日に会場の豊橋市にあるホテルに宅配便でカナダ産のチョコレートを送った。朝の5時に日本のホテルに宿泊している友から電話が入った。昔、全寮制で共に寝起きをした仲間とかわるがるに話ができて、僕は参加はできなかったものの本当にうれしかった。

 あとで、東カナダで公務員をしている息子に頼めば、PRカードの発行を少しぐらい早めることはできるかと思ったが、こちらのミスを押し付けるのも気の毒に思い何もしなかったのが少し悔やまれたが、いたし方のないことである。

 その後、これとは関係のないことだけど、当時の政権は負けて新しい政府になり、風とおしがよくなればと思うのである。

 新しいところに陽があたる。それが民主主義だという話もある。大昔の紀元前2500年前頃にギリシャでは、次の王をくじで決めることもあったらしい。今はくじの代わりに選挙でオバマ大統領から、予想外のトランプ氏が米国大統領になり、別の風である政策が吹こうとしているのもまた民主主義か?

 トランプ大統領令の90日間の中東、アフリカからの外国人の入国拒否も、また別の風かもしれないのであろうから、待つしかないのであろう。

 しかし、トランプ氏がドイツ系であろうと聞けば、なんとなく第二次世界大戦のヒットラーを思い起こす。ヒットラーも選挙で選ばれた総統であった。確かに、彼が政界に出てくるとそれまで不景気で暗いドイツに明るさが見えてくるのであるが、後にナチズムになり、ユダヤ人の迫害が始まるのである。

 前回のエッセイで紹介したクルト・ジンガーもその頃のドイツから日本に来ているが、1935年、当時の政治事情により東大の契約が切られて、仙台の現在の東北大学に移るものの、38年に失職となり、ユダヤ系ドイツ人のジンガーはオーストラリアのシドニーに向かうのである。

 ユダヤ系であるためか本国ドイツには帰らず、オースト ラリアに戦後まで滞在するが、その後イギリスに渡り教壇に立っている。彼はユダヤ人強制収用所にあるガスチェンバーに送られることはなかったが、世界を転々とする人生は不本意であったのかもしれない。

 太平洋戦争中、アメリカ、カナダの日系人も財産を安く処分されて、内陸の収容所に送られたのである。その中には、欧州戦線で片腕を失った尊敬するダニエル・イノウエ米国連邦議員もいた。

 このダニエル元議員は、たしか国葬であったように思う。その年、僕の長男に初孫である男の子が誕生している。偶然であるがフレンチカナディアンの義父の名前をもらい、ダニエルと呼ばれている。そのことは、カナダに住む僕の希望と夢である。

 クルト・ジンガーの著書の中に杜甫の詩がある。  

 

 『叢菊ふたたび開く他日の涙。孤舟ひとえに繋ぐ故園の心』

 


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