2019年5月16日 第20号
初めまして、こんにちは。心理カウンセラーの加藤夕貴です。今月からコラムを書かせていただくことになりました。どのようなことをみなさんにお伝えできるかな?と考えていた時に、このお仕事を始めてから私の中で一つ明確になったことが浮かびました。それは、 人はいつでも変わることができ、自分らしい人生をクリエイトする力を誰もが持っているということです。そして、そのキッカケの多くは、なんと!問題が起こった時にやってくる!ということです。
家族療法の母と呼ばれたバージニア・サティアは、“変容のプロセスに必要なのはカオス(混沌)”だと言います。カオスとは、ズバり、人生に現れる課題や問題です。 その「問題」とは、例えば、夫婦・家族、友達との関係性において現れるかもしれませんし、またそれは原因不明の健康状態に現れたり、やる気がない・落ち込んだり、イライラしたり、不安が強くなるといった、いつもとは違う心の状態としても現れるかもしれません。
人は問題に直面して初めて「どうにかしなければ」という気持ちに突き動かされます。とても嫌なことが起きてはいるのだけれど、その嫌だと不快に感じる私たちの心はとても正直だと思うのです。私たちの心は、私たちの扉を一生懸命ノックしてくれている。「こちらを見て」「どうにかしよう」「可能性を閉じないで」「何かを変えよう」と。そう見ると、問題から発せられるメッセージは、人生を見直すチャンスに見えてきませんか。
問題が起こった時点で、すでにその変化は始まっています。問題が起こった時点で既存の形や考えは解体され始め、人生を再構築してゆくプロセスへと続きます。カオスの状態は、再構築へ向かうスタート地点。
冒頭で紹介したサティアの言葉通り、カオスが必要なのも頷けませんか?カオスの状態になったからこそ、気が付くこと、見えてくること、感じることが実はたくさんあります。蓮の花は、真水ではなく、泥の中からしか立ち上がらないことをご存知でしょうか?あの美しい花を水面に咲かせるには、どうしても泥が必要なのです。
人生の中にある泥(問題)は、縛りや枠を超えるきっかけになり、また過去に深く傷ついた体験があれば癒しの道へと導いてくれるのです。それはより自分らしい人生をクリエイトするための始まりなのです。
「人生に現れた問題や課題、様々な症状は、私たちに何を伝えようとしているのだろう?」
「私たちは問題にどう応えているのだろう?」
自分の心とつながる内なる旅はこのような問いかけ から始まります。
「人生とは、こうあるべきというものではなく、現状・ あるがままである。そのあるがままの現状に、私たち がどのように応えるかが人生に違いを生み出す」
by ヴァージニア・サティア
加藤夕貴
MA, RCC( BC州認定臨床心理療法士)、認定表現アーツセラピスト 想像して創造する遊びの中で、気づきと心の成長を促す、表現アーツセラピーを中心に、バンクーバーと日本で心理カウンセリングやワークショップを行なっている。
HP:http://www.youkikato.com/japanese.html
ブログ:http://youkikato.blogspot.ca/