2019年7月11日 第28号

 血圧の薬、コレステロールの薬、逆流性食道炎の薬に、認知症の薬。月に一回飲む、骨粗鬆症の薬、薬の副作用の便秘を緩和する薬、薬を飲むことで胃が荒れることを防ぐ薬。

 すぐに思い出せるだけでもこれだけあります。

 プラスチックの包装シートから出す時に、気をつけないと失くしてしまいそうな小さな錠剤から、嚥下が悪くなった高齢者が、一口で全部を飲むには量が多過ぎる粉薬まで。朝、昼、晩、寝る前に分けて、自分でお薬ケースに1週間毎に入れていました。そのうち、一回分全部または一部、飲み忘れが目立つようになり、飲まなかった分は溜まる一方です。時には、飲んだばかりの薬を、直後にもう一度飲んでしまい、過剰摂取による影響を心配したこともあります。また、お薬ケースに分けて入れた薬を、包装シートから出さずに飲もうとし、危うく誤嚥しそうにもなりました。その後、飲み忘れ、誤嚥を防ぐため、1回分ずつの一包化を相談したのは、地元の「薬局」でした。

 かつては、開業医を受診すると、診察を受けた後、薬が必要な場合はその場で薬を受け取りました。その後、診察が終わってから、医師が書いた処方箋を持って「薬局」に行き、薬を受け取るシステムになりました。その「薬局」の中で、新たな役割を担うものが、「健康サポート薬局」です。「健康サポート薬局」は、2016年4月からスタートした、地域包括ケアシステムを背景に、日本で新しく生まれた制度です。

 「健康サポート薬局」の法令上の定義は、「患者が継続して利用するために必要な機能および個人の主体的な健康の保持促進への取り組みを積極的に支援する機能を有する薬局」とされています。かかりつけの薬剤師および薬局として、薬を販売する機能に加え、ケアマネージャーや医師と連携して、地域住民、とりわけ高齢者の健康の維持、増進を支援する機能を備えた薬局です。健康に関する相談や指導だけでなく、簡単な検査も行います。薬のチェックをするために、「薬局」を利用する人の自宅を訪問することもあります。他にも、「健康サポート薬局」を利用することによるメリットは様々です。

 まず、健康サポートに必要な専門知識を持った薬剤師が、健康に関する相談に応じます。その相談内容により、医療機関での受診を勧めたり、必要に応じて、他の関係機関を紹介することができます。また、専門知識を持った薬剤師が、要指導医薬品や介護商品など、適切な商品選びを手伝うこともできます。要指導医薬品とは、以前は、処方箋がないと購入できなかった医薬品(医療用医薬品)のうち、処方箋がなくても買えるようになってから3年以内の医薬品を指し、薬剤師による対面販売が必要です。さらに、曜日や時間帯は薬局によって異なりますが、週末も開局しているため、休日でも相談に行くことができます。プライバシーや個人情報に配慮して、相談のためのスペースも設けられています。その他にも、随時、健康相談に関するイベントを開催しています。

 ただし、厚生労働大臣が定める一定の基準を満たし、都道府県に届け出をして、「健康サポート薬局」としての承認を受けていないと、これらのようなサービスを行うことはできません。近所に何軒かある薬局のうち、一体どれが「健康サポート薬局」なのかわからないという場合は、日本薬剤師会が発行するロゴマークを探してください。薬局の外に表示されているこのロゴマークが、「健康サポート薬局」を探す際の目印になります。

 「健康サポート薬局」は、高齢社会の中で、地域包括ケアシステムを支える重要な機能のひとつとして、大きな期待が寄せられています。薬以外の健康に関することまで相談できることを、日本に住むご家族やお友達にも、伝えてみてください。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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