2018年9月20日 第38号

 9月21日は、世界アルツハイマー・デーです。この日は、1994年に、イギリスに本拠を置く「国際アルツハイマー病協会(ADI/Alzheimer's Disease International))が、認知症への理解を促し、認知症と診断された人やその家族への支援策の充実を目的として制定されました。また、9月を世界アルツハイマー月間として、世界各国で様々な啓発活動が行われます。

 例えば、カナダでは、各州にあるアルツハイマー協会が中心となり、州ごとにイベントが行われます。「BC州アルツハイマー協会(Alzheimer's Society of British Columbia)」では、「Climb for Alzheimer's」という、チームを作って、あのグラウス・グラインドを登るファンドレイズが行われます。グラウス・グラインドは無理という場合でも、「Summit Stroll」という選択肢もあり、グラウス・マウンテンの頂上にある展示場巡りをしたり、ゆっくりと散策したり、体力に自信がなくても、同じイベントに参加できます。

 日本では、「認知症の人と家族の会」が中心となり、その本部、および全国各地の支部が啓発活動に取り組みます。例えば、ポスターやリーフレットの作成、およびイベントや街頭での配布、各地のお城やタワー、目印になる建物を「オレンジ色」にライトアップする他に、記念講演会やメモリーウォークも行われます。

 国際アルツハイマー病協会によると、世界中の3人のうち2人が、自分の国では、認知症について、ほとんど、あるいは全く理解されていないと感じています。世界アルツハイマー月間での活動の成果が見え始めていますが、 認知症についての誤った情報がまかり通り、認知症になることや認知症の家族がいることは恥ずかしいこと、公言してはいけないことという考えは、今なおなくなりません。これは、世界的な問題として、世界全体で取り組む必要があります。

 さて、世界アルツハイマー・デーにちなみ、国際アルツハイマー病協会と、「バナー・アルツハイマー研究所(BAI/Banner Alzheimer's Institute)、ノバルティス(スイス製薬メーカー)、アムジェン(アメリカ製薬メーカー)の協力で、世界最大規模のアルツハイマー病に関する調査が行われました。 先日、その結果が発表され、調査対象となった人のほとんどが、自分が生きているうちに、アルツハイマー病の治療法が見つかると信じていることが明らかになりました。

 この調査は、世界10カ国の成人1万人を対象とし、アルツハイマー病研究に役立てるための臨床治験への参加について、意識を啓発することを目的に行われたものです。調査では、おもに次のことがわかりました。対象者の91%が、医療研究により、アルツハイマー病を治療するうえでの解決策が見出せると信じています。また、79%の人が、アルツハイマー病の臨床治験に参加したいと思っていますが、75%の人は、参加する方法がわからないと回答しています。さらに、62%の人が、自分のアルツハイマー病発症を心配しています。

 現在、アルツハイマー病には、根治の方法はなく、治療の選択肢が限られています。上述の調査により、 治療法や根治の方法を見つけるために、進んで協力したいと考えている人が多いことが明らかになりました。医療研究に協力することを啓蒙し、「知らない」という意識の壁をなくすことにより、臨床治験に参加したい人と研究がつながります。

 一度、思い込んだ考えは、なかなか簡単には変えられません。しかし、正しい知識や理解なくしては、状況の改善は図れません。「あの人はボケてるから」、「あの人は認知が入ってるから」、と決めつけてしまわず、心を開いて、認知症を知ろうとしてください。また、自分が認知症だと診断されていることや、認知症の家族がいることは、隠さなければならないことではありません。正しい理解につなげるには、現状を知る側からの働きかけも重要です。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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