2018年1月1日 第1号
1年が瞬く間に過ぎ、新しい年が始まりました。今年は2018年。2025年まであと7年です。
2025年には、第二次大戦直後に生まれた「第一次ベビーブーム世代」でもある「団塊の世代」が、後期高齢者(75歳以上)に達します。それにより、年金、介護費、医療費などの社会保障費の急激な増加が懸念され、「2025年問題」と呼ばれるようになりました。2015年(平成27年)に前期高齢者(65歳から74歳)になったこの世代が、10年後の2025年には、 人口比の約3割に達すると予想されています。(平成18年厚生労働省報告書より)それまでの高齢化に関する問題は、高齢化が進む「速度」 でしたが、2015年以降は、高齢化率の「高さ」、つまり、高齢者数の多さが問題となります。
同時に、認知症の高齢者数も急増することが見込まれており、2025年には、その数は約320万人になると推計されています。 また、高齢者世帯も増加し、世帯主が65歳以上の世帯数は、約1840万世帯に増加すると推定されています。高齢者世帯の約7割を、一人暮らしまたは高齢の夫婦のみの世帯が占め、中でも、高齢者の一人暮らし世帯の増加が顕著で、約680万世帯(約37パーセント)に達するとも予想されています。(2015年国立社会保障・人口問題研究所推計)
そんな中、社会保障費の負担は、「胴上げ型」(1965年、高齢者1人に対し生産年齢人口9・1人)から「騎馬戦型」(2012年、高齢者1人に対し生産年齢人口2・4人)、さらに、「肩車型」(2025年予想、高齢者1人に対し生産年齢人口1・0人)へと推移していきます。出生率の低下と、世界でも例を見ない速度で高齢化が進み、年金等の社会保障費負担がさらに厳しくなることが予想されています。国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口は、2007年をピークに減少が始まり、2025年には約1億2114万人、2050年には、1億59万人に減少すると予測されています。介護や福祉分野の需要はますます増え、医療費、介護費などの社会保障費が膨張するなか、医療や介護のサービスを、抜本的に見直す必要が出てきています。
2025年問題は、日本に限らず、世界でも特に先進諸国に目立つ現象のようです。カナダもその例外ではなく、団塊の世代の高齢化や、高齢化および少子化に伴う社会保障負担の傾向の変化、認知症の高齢者の増加など、日本と同じような状況が見られます。厚生白書によると、1995年の時点で、世界総人口に占める65歳以上の人口の割合は6・6パーセントでしたが、2025年には、10パーセントを超えることが見込まれています。先進諸国の高齢化率はさらに上昇し、2050年には、最も低い国で約2割、最も高い国では、3割代後半にまで達すると予想されています。一方、発展途上国ではこれから高齢化が始まり、2025年には、世界の65歳以上の人口の約7割が、発展途上国の市民となると考えられています。特に、もともと人口が多く、高齢化の兆候が見え始めたアジア圏では、超高齢化社会の先頭をゆく日本の知識や経験についての情報が求められています。日本と同じような問題を抱える先進諸国とも、知恵を出し合い、情報交換をしながら、高齢化という課題に取り組む必要があることも認識されるようになりました。日本は、社会の高齢化に国際的に貢献する役割を担っているのです。
2025年には、「新人類」世代の私も還暦を迎えています。 健康そのものかもしれませんし、大病をして療養中かもしれませんが、明らかな体の老化を感じているはずです。人間の体の耐用年数は、もともと50年位らしく、その後は、世界記録の122歳まで生きるのは無理でも、メンテナンスをしながら大事に使っていくしかないようです。
頑張ってきてくれた体 、ありがとう。もうしばらく、よろしく。
ガーリック康子 プロフィール
本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定