2017年3月16日 第11号

 認知症と診断されても、人により、認知症の種類やそれまでの経緯、症状や進行度合いは異なります。共通するのは、認知症が、本人だけでなく、その家族の生活も一変させてしまうことです。私にも、それが現実となりました。離れて生活していたことで、大きな変化に気づいたのが診断のきっかけです。それから、私の遠距離介護が始まります。一年に少なくとも2回、1ケ月から2ケ月、日本に介護の手伝いに帰りました。

 ところが、 同居の形態がどうあれ、法規上も同居する家族に介護の主導権があります。同居家族の選択が相いれないものでも、同居していない立場上、こちらの意見は通せません。療養入院していた母が誤嚥性肺炎を繰り返したため、点滴による経静脈栄養に切り替えたのも、同居する家族の希望です。その後、母は、2、3日が峠と言われてから、4ケ月近く生き長らえました。その4ケ月が本人のためになったのか、今も疑問は残ります。

 思うように介護の手伝いができない状況で、私が頼ったものは、ワークショップとサポートグループでした。認知症の知識を深めるために、ブリティッシュ・コロンビア州アルツハイマー協会が提供するワークショップすべてに参加しました。また、同協会が主催する、認知症の親をもつ人対象のサポートグループに通い始め、その後すぐに、隣組の「認知症の人を支える家族の会」にも顔を出すようになりました。

 認知症が社会問題として扱われ、一般に知られるようになりましたが、今も誤解や偏見はなくなりません。そこから生まれる、「認知症になったら人生の終わり」というような考えが今もまかり通っています。認知症の正しい理解を広めるために、日本では、2012年に発表された「認知症5カ年計画(通称オレンジプラン)」、2015年に決定された「認知症施策推進総合戦略(通称新オレンジプラン)」に基づき、地域社会での支援を推進しています。中でも認知症カフェ(オレンジカフェ)は、地域に根ざした活動のひとつです。認知症の方とその家族、認知症に関心のある地域の人、専門職者など、誰でも参加でき、情報交換や、心配事や悩み事の相談の場になっています。

 この認知症カフェを、ここバンクーバー地域でも始め、日系コミュニティーでの認知症の正しい理解や情報の普及と、意識の啓発を行い、支え合う場を作ること。これが私の現在の目標のひとつです。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

 

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