2017年3月9日 第10号

 認知症は、年齢を問わず、成人の誰がなってもおかしくありません。その認知症の早期発見の話の中で、必ず登場するMCI。認知症の発症過程を理解するうえで、重要なトピックです。

 MCIとは、 Mild Cognitive Impairmentの略で、軽度認知障害と訳されます。脳の健康な状態と認知症の中間にある段階、いわばグレーゾーンです。MCIの方は、健康な同年代の人と比べて、認知機能が低下しているものの、日常生活には支障がありません。もともとMCIは、認知症を早期発見し、認知症への進行を見極めるために生まれた概念で、5つの定義があります。それは、①本人や家族が記憶障害を認めていること、②日常の生活動作に異常がないこと、③記憶以外の全般的な認知機能は保たれていること、④年齢や教育レベルの影響だけでは説明のつかない記憶障害があること、⑤認知症ではないことです。

 どのような認知機能障害があるかにもよりますが、MCIとわかった後、認知機能の低下に対して適切な対応をすることで、MCIの回復や、認知症への移行の防止、認知症の発症の先延ばしは可能です。しかし、せっかくMCIとわかっても、そのままにしておくと、 認知機能の低下が続き、1年後に約10%から15%のケースで認知症に移行するというデータもあります。残念ながら、多くの場合、既に認知症の軽度から中度に進行した段階で認知症と診断されます。治療の対象として治る可能性がある疾患や、薬の副作用が原因で認知症を発症した場合等を除き、認知症は完治しません。

 認知症には、発症するかなり前からの生活習慣の積み重ねが関係することがわかっています。このことから、何らかの生活習慣病にかかっていると、認知症発症リスクが高まると言われています。つまり、認知症の予防は、生活習慣を改善することから始まります。食習慣を見直し、タバコや深酒をやめる。定期的な運動習慣で脳や体の機能の維持を図る。趣味や習い事を続け、友人や地域の人たちとコミュニケーションを保つ。今すぐにできることはたくさんあります。生活習慣の改善は、健康維持にも繋がります。健康で長生きするためにも、実践していきましょう。

 


ガーリック康子 プロフィール

本職はフリーランスの翻訳/通訳者。校正者、ライター、日英チューターとしても活動。通訳は、主に医療および司法通訳。昨年より、認知症の正しい知識の普及・啓発活動を始める。認知症サポーター認定(日本) BC州アルツハイマー協会 サポートグループ・ファシリテーター認定

 

 

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