2018年12月6日 第49号

誰にでもあるトラウマ

 私は1971年、名古屋市で生まれた。幼稚園にあがる前だったか、県内の津島市という所に引っ越して、そこで小学校の4年生まで過ごし、明るくてめちゃくちゃ活発。そんな私が、40歳を過ぎるまでには、次々とニコチン、アルコール、運動依存症、対人恐怖症、鬱、精紳過敏、摂食障害…などのいろいろな精神的な問題を経験して、とうとう心身ともに疲れ切ってしまった。私は何とかしてこの苦しみから逃れたい一心で、『自分の幸せ探し=心の玉ねぎの皮むき』を始めた。私がここで言う玉ねぎの皮とは、人から言われた間違った自分のアイデンティティーの事。まずは、瞑想で内観を毎日し始めた私は、ある日の事、自分の心の闇がいつ、どのようにして始まったかの理由の一つになった事件をとうとう見つけてしまった。それは突然やって来たんだけど、小学校1年生の時、全く忘れていた私にとってとっても辛い記憶。それがよみがえった瞬間、私は激しく泣き出した。今の私と7歳だったあの時の私がコネクトした瞬間、胸が張り裂けるような感覚、強烈なドロドロのネガティブ感情が私のおなかの中をグルグル、私は強烈な吐き気のような自己嫌悪感を感じた。どうやら、私はこのつらい経験を40年近くずっと自分自身から隠して、忘れ去っていたみたいだ。

 当時、小学校1年生の活発でいたずらっ子だった私には、3歳上の姉がいて、彼女は親の言うことをよく聞くお利口さん。当時の私は、いつもお姉ちゃんみたいな良い子になるように毎日必死だったにもかかわらず、いつもいたずらをしてはゲンコツを頭に食らうありさま。ある日の授業中、トイレに行きたくなった。活発な割には実は生真面目だった当時の私は、トイレに行きたいと言いだせず、ずっと我慢に我慢をした。でもとうとう我慢の限界、私はクラスの全員の前でお漏らしをしてしまった。

 『恥ずかしい、惨め、バカ、汚い』私はただ下を向いて泣きながら椅子に座っていた。先生はすぐに私を助けてくれて、私は保健室に連れていかれた。先生に着替えのパンツをもらって履く事のひどく惨めだった事。そして帰った時に母は当然、「なんでトイレに行きたいって言わなかったの?」って、私は答えられなくて…『私はなんてバカな子なんだ』と強く思った。

 そんな私に、クラスのお友達はやさしく接してくれた。ただ1人の男子だけを除いて。お漏らしをしたその週の集団下校の時を境に、毎週集団下校になると、彼は大きな声でみんなに向かって何回も叫ぶんだ。「ションベンちびり佐藤涼子」って。学校中の全員の前で『おもらし』を暴露され、ひどく侮辱された。悲しくてみじめな私は、死にたいと思った。本当は「やめて」って言えたらよかったけど、あまりに悲しすぎて、この恐ろしい嵐が通り過ぎるのを必死に耐える事しかできなかった。この時の自分に対する自己嫌悪感は後々、精神障害、依存症などで苦しむ理由の一つになったと思う。当時7歳の私…“絶対にこの事は恥ずかしいから誰にも話さない”と完全に自分の意識からこの事をブロックした。45歳になった私はとうとう見つけてしまった。そして、我ながら人間の心ってすごいなと思った。7歳の私にはあまりにも辛すぎたから、勝手に私の心のディフェンスメカニズムが働いたんだろうね。まるで私の一部分(7歳の小さな女の子)を、心の奥底(開かずの間)にずっと閉じ込めていて、それを何十年もたってやっと見つけ出したみたいだった。人間誰でも、生きていれば、大なり小なりトラウマがある。私は、どうやってこのトラウマを克服したか。

 私の頭の中に取り残されていた、7歳の小さな私に対して、こう言った。「涼ちゃんつらいよね、かわいそう、でも大丈夫だよ。誰だっていろいろな間違いをするんだよ、涼ちゃんはダメな女の子じゃないよ。これからは7歳の男子が言う事を聞いてはダメ、だってあの子ずっと涼ちゃんの事好きだったの知ってるでしょ。小さい男の子って好きな子にはわざと意地悪しちゃうんだよ」

 そして、私は言われた罵り、侮辱の言葉、そして私の感じた自分に対してのネガティブな思い『バカ、汚い、惨め、恥ずかしい、自分が嫌い…』を全部紙に書きだした。それからゆっくり、『これは本当の私ではない』そのあと目の前でその紙を燃やした。そして、『私はこのトラウマから解放された』 と宣言した。

 誰にだって、大なり小なりトラウマがある。でもやってはいけないのは自分の問題は大したことないからって無視して、心の奥にしまい込んでしまう事。そんなトラウマ体験は長い時間をかけて心の闇となり、次第にあなたを支配するようになる。私の場合は、ただのお漏らしで男の子にからかわれた事。でもね、ここで大事な事はその出来事に対して私がどう感じたか。私の場合は、自己嫌悪、みじめさ、自分はバカ、ダメな人間だとか…その感情がネガティブであればあるほど、絶対にその感情は放っておいたらだめ。人間の心というものは、とても繊細なもの。悲しいと思う時点で、心の傷はできる。そしてその傷はいくら小さいように見えても、ちゃんとケアをしないと体の中で腐り、毒を放って、危険な事になる。中毒、精神病、病気などの様々な原因はこれだと私は思う。私のケースがまさにそうだ。

 もしこれを今読んでくれている人で、トラウマに苦しんでる人がいたら…勇気を出して助けを求めてみて。友達、家族の人に話をするのもいい、一人で思いっきり泣くのもすごくいいよ。あと、プロのカウンセリング、ヒーリングセッションはとてもいいと思う。でももし、あなたの今の心の状態がそこまでまだいってないようだったら、無理せずに静かに毎日瞑想と内観を続ける事。本当につらい時は人間はその事を直視できないし、話をするどころじゃない。だからもしそんな状態だったら、とにかく焦らず、ゆっくり、やさしく自分をいたわってあげよう。

 与えられた試練って、絶対に乗り切れるからあなたに与えられるんだと私は思ってる。だから、今のつらい時は絶対に良くなるから、私を信じて、今日から自分を大事にし、愛する事から始めよう。

 


作者プロフィール ドナルド涼子

BCRPA Supervisor of Group fitness & Yoga ,Personal trainer, Older Adult, 200H Yoga Teacher

47歳、愛知県出身、1999年に結婚を機にカナダに移住、34歳の時にフィットネスインストラクターの道に進むとすぐ、女性に人気のカリスマインストラクターへ成長する。2016年ベストインストラクター賞を受賞。43歳の時に、アマチュアボディービルのビキニコンペティションを趣味として始め、地区、州大会にて優勝、上位入賞経験あり、現在次の全国大会に向けてトレーニング中。また、フィットネスプロフェッショナルへの講習活動、地域の学校でのヨガ、フィットネス指導、老略男女問わず、心と体の健康と幸せの為の活動を行っています。また、近年マスメディアにも出演、読売テレビ、グッと地球便、Nikkei TV Chipapa など。こんな肩書を持つ私ですが、若かった頃は、性格ブス、デブ、ネガティブ、ずっと自分の事が大嫌いだった。そんな私には、運命を変えてくれる主人との出会いがカナダで待っていた。出会った瞬間にビビット来て、この人と結婚するってわかった私は、出会って1週間後に彼の実家に転がり込んだ?!そして、結婚、異国の地で2児の母になる。気が付けば20年、今の私は心から幸せ、自分大好き。私がどうやって幸せをつかんだのか、私の経験をお話ししながら皆さんに伝えたいと思います。私の目的はただ一つ、あなたにも“幸せ“になってもらう事。 パーソナル、グループトレーニングやヨガのご質問は、This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. 604-889-4729 まで、または Instagram : befitfirmfab 、 facebook : Ryoko Donald

 

 

 

 

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