2017年11月9日 第45号
一般的に薬剤師がいる薬局(Drug store)といわれている所には、処方箋(Prescription)によって出される薬と、Over the counter (OTC)と呼ばれる処方箋いらずの薬が置かれています。現在のトレンドとして、ほとんどの薬局にサプリメントに加え、Herbal Medicine(薬草医薬品)とHomeopathic Medicine(ホメオパシー医薬品)も一緒に置かれています。自然医療学から見て、とても矛盾しているように思われる医薬品の販売風景ですが、これも多くのカナディアンが薬ではなく、自ら率先して治癒力のみで風邪などに対応したいと思っている現われだと感じています。ところが、ほとんどの人が健康オタクと言われるほど適度なサプリメントの知識があるにもかかわらず、誤った医薬品選びをして自己治療している方がほとんどです。
きちんと自ら、病気の状況、程度、頻度や期間をきちんと把握、判断して、タイミングよくサプリメント等を摂取するか、薬を摂取するかの判断を見極めなくてはいけません。例えば、風邪にはEchinaecea(アカネーシア/日本ではなぜかエキネシアと呼ばれています)がいい! と言って常に摂取していても、風邪をひいてしまって時期が少したってしまっている状態では意味がありません。Echinaeceaは一般に免疫力を高める効果があるので、風邪のひき始め、またはひくかな?と思っているときに摂取するのが一番効果を得ることができます。ただし、Echinaeceaの商品の中にGolden seal(ゴールデンシール)という薬草が入っているものがあります。Cold formulaなどと書いてあるものは基本、Echinacea以外の薬草が入っていることがありますが、それらはばい菌を消滅させるものがあります。それらは逆に風邪をひいている時期に飲むと風邪を治す効果を得ることができます。
なので、どのタイミングで何を摂取するか、きちんと考えることが大切です。
風邪のひき始めにもう一つ、オススメするのはホメオパシー医薬品です。ホメオパシーは基本、人間の中の決まった能力の治癒力を呼び起こす為に薬草から作られたRemedy(レメディー)と呼ばれる液体を乳糖に吹きかけたものを治療に使います。治療といっても、どこまでいっても個人個人の治癒力を高めるだけなので、もとから治癒力の低い人ではすぐに治らないこともありますので、治療薬であると思って使用するものではないと考えてください。それとレメディーは大変繊細な物なので、摂取のタイミングに気をつけてください。食事はもとより、水などを飲みながら摂取したり、特に歯を磨いたり、コーヒーを飲んだり、ガムを噛んだり、タバコを吸ったりなどの行為をレメディー摂取前後10分程必ず避けるようにしてください。忘れて上記の行為を行うと、摂取したレメディーが無効になってしまいます。それから薬と大きく違うところは、摂取量を増やすことによって身体への影響を増やす薬に対し、ホメオパシーは摂取回数を増やすことによって影響を与えるので、お年寄りや新生児、乳幼児に優しい医薬品です。中にはレメディーは砂糖にまぶしてあるからダメだと言われる方もいますが、摂取するレメディーは微量であり、血糖値を激しく変化させたり、子供をハイパーアクティブにさせる程の量を摂取することはありませんので、安心して使っていただけます。逆に子供用の風邪薬にはもちろん、大人用の薬の中にも必ず色や味など、薬以外にもっと身体へ悪影響を与えるものが入っているので、どちらが安全なのか考えてみてください。
それではもし風邪をひいてしまったら、どうしたらいいのか。風邪の場合、ばい菌が病原菌なので、体内にある糖分を使って病気を進行させていきます。そのため極力、糖質の高い食べ物等を避ける必要があります。インフルエンザは逆にウィルス性で糖分を使わないので、身体全体で対抗できるように治癒力をサポートする必要があります。(インフルエンザの場合、悪寒や身体の痛み、高熱などを含み、風邪の症状と少し違うのですぐに判断できると思います。)とりあえず、単純なアプローチとしてMulti-Vitamin&Mineral、ビタミンC 500mgを毎日3回摂取することから始めると治癒力がすぐに高まってきます。喉が痛くなってきたら一般ののど飴を買って常になめるのではなく、うがいを何度かするほうが治りが早くなります。日本では簡単に手に入るうがい薬(ほとんどがヨウ素を使っています)ですが、カナダではヨウ素ということから微量での販売しか行われていません。なので、無理にヨウ素を使ってうがいをするのではなく(多量のヨウ素の摂取は甲状腺ホルモンの異常に繋がるので使用頻度を少なめにすることがオススメです)、虫歯予防に使うマウスワッシュを使って喉のうがいをすると大変効果があります。
色々と自然医療医学的に単純な風邪へのアプローチをお話しましたが、最終的には身体が動けなくなるほどの風邪やインフルエンザにかかってしまった場合、必ず薬を使うことをオススメします。長期にわたる病原菌による身体へのストレスは、その他の病を引き起こすことになりますので、自分で時期を見計らって薬を使用することをオススメします。
色々なサプリメントや薬があるので、自分の身体に合った物を、一番いいタイミングで摂取して風邪などに対応して下さい。
草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor
1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。