2016年11月10日 第46号
先月は31日間中、28日間が雨だったこともあり、外に出られなかったり、気分転換ができなかったりで、気持ちが沈んでるなと感じてはいませんか? 最近なんかふさぎこみがちだなぁ、前はそれほど気にならなかったのに最近特にいろいろなことが気になるなぁと思ったら、鬱病になりかけているのかもしれません。北米では人口の25%が鬱病や何らかの鬱に似た症状に犯され、そのうちの13%の人がひどい鬱病で悩まされています。それぐらいカナダではあたりまえの病気なのですが、鬱病とは客観的な見解で病気を診断するので、これを機に鬱病のセルフチェックをしてみましょう。
1)食欲減退に伴う体重減少、または食欲旺盛に伴う体重増加
2)不眠症、または過眠症(いつでもどこでも、いくらでも寝ることができる)
3)精神運動の停滞、または興奮
4)普段の行動に対する興味の減退、または性欲減退
5)体力減退と身体の疲れ
6)やる気の無さ、自己非難、または不適切な非難
7)考えることができなくなる、または集中できなくなる
8)最近、自殺や死について考えたことがある
以上の症状が5つ以上あり、最低1カ月続いていれば鬱病であると診断されます。症状が4つであっても鬱病が存在していると考えられています。
基本的に鬱病では、脳内ホルモンのバランスがきちんと保てなくなった結果、誤った感情表現が引き起こされている、と考えられています。そのため自然医療医学的な治療法では、鬱病を引き起こす可能性のある物を食生活から排除したり、体内で脳内ホルモンの働きを増加させる食べ物を摂取することにより症状を緩和させます。
鬱病の人は特に、脳内ホルモンの分泌、および神経細胞と身体を動かす細胞との間のシグナル交換に大変必要な分泌物を生成するビタミンB6、ヨウ素、ビタミンB12、鉄分、ビタミンC, ビタミンB1とオメガ6必須脂肪酸の摂取不足が見受けられることがあります。これらの栄養素を食品から摂取する、またはこの時期だけでもマルチビタミン剤を摂取することをオススメします。
鬱病にかかったり、気分がふさぎがちな時には、免疫力が下がっています。だからこそ、自分のアレルギーを発症させる原因になる物(アレルゲン)の摂取や接触を避けることに特に気をかけると良いでしょう。雨の多い時期はカビも生えやすいため、この時期にいつも体調が悪くなったり、気分がふさぎこむなどの症状が出る人は、カビアレルギーを持っているのかもしれません。これを考慮に入れて、ブルーチーズなど、カビが含まれる食材を避けてみるのも良いでしょう。
今のところ、ビタミンDと鬱病の直接的な関係は出ていませんが、明るい照明を室内に使うことが鬱病の症状を緩和するとわかっています。そのため、この時期だけ室内照明を白熱電球に変えるのも良いのではないでしょうか。
最後にひとつ、あまり健康的ではないのでは…というオススメ食材を紹介します。それはチョコレートです。
誰もがこぞってチョコレートに敏感なのは、チョコレート、つまりカカオには脳内ホルモンの前身となる物質が多く含まれているので、気分を上向きにさせることができるからなのです。適度な量であれば鬱病症状を緩和することがあります。ハロウィン後にたくさんあまったチョコレート、気分がふさぎがちな時に口にするのも悪くはありません。
気分の浮き沈みは誰にでも起こり得ることです。恥ずかしがらず、きちんとその事実を受けとめ、鬱かな?と思ったら悩まずに、必ず誰かに話したり、医師に相談することが大切です。たまには女子会や男子会、井戸端会議などで発散することも大切です。
来月はクリスマス、正月など…楽しいイベントばかり。楽しいことを考えて、このレインクーバーを乗りきってください。
草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor
1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。