2017年1月12日 第2号
「勇気」「脳みそ」「心」がないと人間じゃない
* 勇気
特に「勇気」は全然ない。「留学生は女子と男子が半々だが日本だけは9割くらい女子。どうして?」と多くの人が。よく気がきき、なんでもしちゃう素晴らしいママたちが見事に仕上げたマザコン青年たちは、お父さん同様に役立たずだから病的臆病。身長180センチでも153センチのママがなんでも全部決める。女性は、のっしのっしと試食コーナーを闊歩し、ガツガツとなんでも飲み込むオオトカゲの如き生命力。
善人に勇気があれば世界は好転するがヘナチョコには無理。逆に悪人は勇気がある。
「女は子供を産む機械だ」とか「ナチスの憲法をマネろ」と、クルクルパー大臣やふんぞり返る役人どもは「寄り切り」や「浴びせ倒し」の荒技で制する勇気のかたまり。あらゆる行事に来賓の赤いリボンをぶら下げて、堂々としゃべり、満面笑顔で記念撮影に応じる役人たちの底なしの勇気。無意味なボンクラ大学を出て、のうのうと教員になる絶大な勇気。寿司職人は30年の修行後も師匠に何かを言う勇気はない。
*脳みそ
スポーツ選手は学業はサッパリでも野球専門高校や体育大学がガッチリ下取り。腐ったオリンピックに出て政治利用されてもなんともない。というか、なんにもわからない。五輪招致には強者たちが超高価なスーツをもらって、一流ホテルに。電通が5億円を巻き上げた10分のPR ビデオにすべてを託す筋肉メダリストたちに英語をしゃべる奴はいない。詐欺も悪事もわからないからビールのCMに家族みんなで出演。警備会社のバカバカしいCMやバラエティ番組にヘラヘラ出る。さすがは一流。脳みその代わりにぬか漬けが詰まってる。
*心
ハートがあれば、不可能はない。不可能が多いのはハートがないから。無表情なハートなきママたちは完璧主義の冷血漢。いいことに完全主義ならいいが、自分の都合に合わせさせ、子どもを缶詰にする缶璧主義。「頑固」とは要するに能なし。心なきママミーアたちはアル中に仲間入り。退屈きわまりないマザコンと結婚したことには同情するが、ストレス発散を兼ねて子供たちに「勉強しなさい!」「受験!」と吠える狂牛病。
8階級制覇のボクサー、マニー・パッキャオの強さは理解不可能な謎だが、マニーの快挙の理由をきかれた元ヘビー級王者のマイク・タイソンは、ひと言で答えた。「ハートだよ!」…そのとおり。せっかく「ハート」の力は無限なのに、自分さえ信じられない人にはハートはない。ハートがないから自分自身も信じられない。「あの高校・大学に入らなきゃ終わり」「あそこに就職できなきゃダメ」と毒バエどもに脅かされ続けて、ハートが台なし。冒険心に溢れるべき子どもたちの行く末は「安全安心な公務員だ」から、人生はタニシ。「ハートのないブリキ男」を演じたバディ・エブセンは、身体中に塗られたアルミを吸っていたため、撮影開始から10日間で重病に陥り死にかけた。ハートがないと怖い。魔女役のマーガレット・ハミルトンはメークアップに引火し、やけどの治療に6週間。驚異的なのは、監督のヴィクター・フレミングは『オズ』の公開と同年に『風と共に去りぬ』を完成させていること。
世界中で絶賛された映画史上最高の作品(1939年公開)は、日本では15年間封印された。民主主義を描く人間らしい作品はトットと上映禁止。世界平和を目指す42の全加盟国から侵略主義を反対されて、国連をセッセと抜けてナチスと仲良しになり(1933)、平和の祭典よりも戦争が大事と東京オリンピックをサッサとやめた頃(1940)と現代(2017)の世相がソックリという人が多い。
「勇気」「脳みそ」「ハート」のどれか抜けても困る。全部がないと原発、放射能、戦争… 魔法使いでも歯が立たない。
(Lucky Day)
著者近影:Lucky Day 元プロボクサーで映画作家のコラムニスト