2020年1月9日 第2号

 一般的には性行為によって伝播して行く病気の総称です。以前、性病と呼ばれていた梅毒・淋病・軟性下疳・そけいリンパ肉芽腫(第4性病)を含めエイズ(AIDS)、トリコモナス、ヘルペス、尖圭コンジローマ、クラミジアなどによる感染症を加えて“STD”と呼んでいます。ほかにも多くのSTD が有りますが各々の疾患については教科書や医学書に記載されていますので是非とも参考になさって目を通しておかれると良いと思います。とても重要で尚且つ繊細な意味を含んだ疾患ですので十分な理解が必要になります。ご自分だけの問題に留まらずパートナーにも影響を及ぼします。ここに記した疾患はどれを見てもとても重要な疾患ばかりですが紙面の都合も有りますので様々な疾患については改めてご紹介することにして、ここでは最近罹患率が上昇しているクラミジア感染症に絞って考えてみましょう。なにも怖がる必要は有りませんが知ることを拒んではなりません。女性の立場から話を進めてみましょう。まず知っていて欲しいのは症状が乏しいために発見が遅れることです。若干オリモノが増えたかなーとか、生理痛が少し重くなった、軽い下腹部痛や不正出血などその程度しか感じないことが多いのです。しかも女性の80%は無症状!(性の健康医学財団から引用)とも言われています。症状に乏しいということは発見が遅れ、治療が遅れる。その一方では病気の進行が続くことになります。その間に大切なパートナーの病勢も増悪し続け、病気が進行して行くことになります。もちろん病勢が進めば女性では腹膜炎の症状を呈することも有ります。でも、ここまで進行することは少ないのですが子宮頚管炎や卵管炎の頻度は比較的高く炎症が強いと周辺組織と癒着することも有って卵管であれば卵管妊娠、すなわち子宮外妊娠の原因となる事もあります。子宮の出口の部分を頚管部と呼んでいますがその部分での炎症が強ければ不妊症の原因にもなりかねません。もし幸運にも妊娠したとしても流産に至ることも少なくありません。ここまで読み進んで来ると“なんだか嫌な病気!厄介な病気!変な病気!”と思うことでしょうがもう少しだけ続けて読んでみて下さい。病気の勢い(病気の強さ・病勢)が弱くうまく妊娠が成立して予定日近くまで順調に経過したとしましょう。でもクラミジアは頚管部に多く住み着いているので破水しやすい状況になっています。もしも破水してしまったら羊水が流れ下りてくるだけでなくクラミジアが赤ちゃんの居る子宮の中に入り込んでくることになります。赤ちゃんへの感染が危惧されますね!そのまま分娩になったら赤ちゃんは元気に大きな産声をあげる事でしょう。でも赤ちゃんは生まれたときに大きく息を吸い込んでから大きな声で産声をあげるのです。きっと鼻も口もクラミジアに感染されていますから大きく息を吸ったとき赤ちゃんの肺の奥まで入り込んでしまい後の肺炎(クラミジア肺炎)の原因にもなりかねません。さらに、赤ちゃんの目やまぶたにトラコーマという病気も起こしかねません。赤ちゃんを産んだ後のママが産褥熱に罹ることも有ります。すべての人がこのような経過を辿るとは限りませんが知識としては十分知っておくに越したことはありませんね。読者の皆さんここまで読んで頂き有難うございました。貴方の明るい未来のためにも勇気を持って医療機関を受診するのも解決への近道かもしれませんね。

 


杉原 義信(すぎはら よしのぶ)

1948年横浜市生まれ。名古屋市立大学卒業後慶応大学病院、東海大学病院、東海大学大磯病院を経て、杉原産婦人科医院を開設。 妊娠・出産や婦人科疾患を主体に地域医療に従事。2009年1月、大自然に抱かれたカナダ・バンクーバーに遊学。

 

 

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