2020年3月26日 第13号
今年7月に開催予定だった東京オリンピックが急展開をみせた。きっかけはカナダオリンピック、パラリンピック委員会が発表した不参加表明だったとカナダ国内では称賛されている。
カナダオリンピック委員会(COC)、カナダパラリンピック委員会(CPC)は連名で3月22日、声明を発表。カナダの両委員会は、東京夏季オリンピックが今年7月24日に予定通り開幕する場合は、9月のパラリンピックも含めて選手団を派遣しないと発表した。
これまで世界の各競技団体などが、東京五輪延期や中止について言及していたが、不参加を表明したのは世界でカナダが初めてだった。委員会は、今回の決定は選手会、国内競技団体、カナダ政府の支持を受けて決定したものであり難しい決断だったとしている。国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、世界保健機構(WHO)には大会の1年延期を早急に決定することを求め、そのためにはカナダは全面的な支援を惜しまないと発表している。今回のカナダの決定については、新型コロナウイルスが世界中で感染拡大する中、選手の健康だけではなく、公衆衛生上の問題であり、選手をはじめ、その家族、さらに大会に向けてトレーニングを続ける選手の環境を含めた、カナダ全体にとって安全とはいえないためとしている。
このカナダの決断に対して、オリンピック、パラリンピック出場が決定している選手らはメディアのインタビューに対して、「残念だ」としながらも「正しい決断だったと思う」と、複雑な胸中をのぞかせながら委員会の決定を支持した。
カナダが表明した後、オーストラリアでも同様の意思表示がされた。そして、24日にIOCが公式に東京五輪の延期を発表した。カナダ国内ではカナダの決定が、決断を先延ばしにしていたIOCの背中を押したと、カナダオリンピック・パラリンピック委員会の決断を評価する声が上がった。