2020年2月20日 第8号
全国各地でブリティッシュ・コロンビア州北部のウェツウェテン先住民族を支持するデモが広がる中、経済への影響が現れ始めていると、連邦政府へ早急にデモを中止させるよう要求が強まっている。
ジャスティン・トルドー首相は予定していたカリブ海諸国への訪問を取り止めて、事態収拾に向けた対応に追われた。
15日には、マーク・ミラー先住民族相がオンタリオ州ベルビル近くでデモを実行しているティエンディナガ・モホーク族を訪問。9時間にわたる話し合いをした後、記者団に対して「緩やかに前進」と説明し、トルドー首相に内容を報告すると語ったのみで、会談の内容については一切明らかにしなかった。
18日の国会では、野党保守党がデモの影響による経済停滞への懸念を追及。保守党アンドリュー・シェア党首は「違法封鎖をいつになったら強制撤去するのか」と詰め寄った。しかし、トルドー首相は対話こそが解決の早道と強制撤去には消極的な姿勢を示した。国民に対してトルドー首相は、いろいろな面で不便を強いられていると思うが「政府の対応をもう少し見守ってほしい」と訴えた。
BC州では連邦警察が裁判所の強制執行命令を受け、ウェツウェテン自治区に踏み込みデモ隊を逮捕する行動に出たが、オンタリオ州では裁判所から強制執行命令が出ているにもかかわらず、州警察は強制撤去を実行していない。
その背景にはこれまでに先住民族と州政府、警察が衝突した歴史の中で、先住民族にも警察にも死者を出すという歴史がある。そのため同じ過ちを犯さないためにも、オンタリオ州警察も連邦政府も慎重に対応しているという。オンタリオ州政府も連邦政府を批判はしているが、強制執行への対応は州警察に一任していると発表している。
トルドー首相は、現在ウェツウェテン族の首長たちとの会談実現に向けて努力していると説明。ウェツウェテンの首長は、自治区から連邦警察が撤退しない限り、対面での会談はあり得ないとの主張を繰り返している。