2020年1月16日 第3号

 オンタリオ州トロント近郊にある原子力発電所で、原因不明の事故が発生したという緊急警報が州民に発信された。12日午前7時30分ごろ、日曜日の早朝にオンタリオ州に緊張が走った。しかしこれが誤報であることが分かった。

 誤報は同州ピカリングにあるピカリング原子力発電所で事故が起こったというもので、発電所から10キロメートル以内の住人のみ対象と説明していた。

 州民全員のスマートフォンなどに発信された緊急警報は、「ピカリング原子力発電所で事故が発生した。ただ放射能の異常な放出は確認されておらず、現在緊急にスタッフが対応している」とし、現在のところ住民が早急な対応を取る必要はないとなっていた。

 しかし原子力発電所を管理するオンタリオ州電力公社(OPG)は、同日午前8時6分にツイッターで警報が誤報だったことを知らせ、緊急事態は発生していないと説明した。州民の携帯電話には誤報から約1時間後に誤報だったことを知らせる訂正メッセージが送信された。

 オンタリオ州政府は今回の誤報についてOPGが発信したものではなく、オンタリオ州緊急対応センターが定期的に行っている訓練で、誤って州民に情報を知らせる結果となったと説明。「州政府として州民に謝罪するとともに原因究明に尽力する」と声明を発表した。

 これについて当事者となる近隣の市長は不快感を示している。ピカリング市デーブ・ライアン市長はツイッターで「州政府に抗議し、徹底的な調査を要求した」と語った。また発電所がトロントのダウンタウンから東に50キロメートルのところにあることから、トロント市ジョン・トーリー市長も、不明な点が多すぎるとして原因究明を要求したことを明らかにした。

 同発電所は1971年に電力供給を開始し、最大で約3100メガワットを供給できる。2024年には運転停止になることが決まっている。

 

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