2019年11月7日 第45号
中国がカナダからの精肉製品の輸入を再開することが明らかになった。ジャスティン・トルドー首相が5日、ツイッターで発表した。中国はカナダからの精肉製品の輸入を今年6月から停止していた。
カナダにとって中国は精肉製品の最大輸出先のひとつ。2018年には5億ドルの豚肉製品、1億ドルの牛肉製品を輸出している。豚肉は2番目、牛肉は5番目の輸出相手国。
そのため、輸出が一時停止したあとの国内精肉産業への打撃はかなり大きかった。輸出先を拡大しようとしても中国に勝る市場は見つからない。中国は世界最大の豚肉消費国である。
今回中国が突然輸入再開をした理由について、元中国大使ガイ・セント-ジャック氏は、中国の国内事情によるものではないかとの見解をCTVテレビインタビューで示した。
中国では昨年からアフリカ豚コレラが大流行し、すでに120万頭の豚が殺処分されたとされている。世界一の豚肉消費国である中国は世界一の豚肉生産国でもあるが、アフリカ豚コレラの大流行で豚肉製品の価格が2倍以上跳ね上がり、国民から不満の声が上がったのではないかとセント-ジャック氏は推測している。
カナダと中国の関係は昨年12月にファーウェイの孟晩舟CFOがバンクーバー国際空港で拘束されて以降、こう着状態が続いている。
今回の精肉製品輸入再開は中国側がカナダに対して軟化し始めた兆しかどうかを見極めるには時期尚早とセント-ジャック氏は語っている。