2019年11月7日 第45号
ブリティッシュ・コロンビア州メトロバンクーバーでバス運転手らがストライキに突入した。
11月1日からストライキに踏み切ったのは、メトロバンクーバーの公共交通機関を管理運営するトランスリンク社のバス・シーバスの運転手らが加入する労働組合ユニフォ組合員。
トランスリンクでバス・シーバスの運営を任されているコースト・マウンテン・バス・カンパニー(CMBC)と協議していた労使交渉が決裂したため実力行使に踏み切った。
ユニフォ代表は、11月1日からトランスリンクのロゴの着いたジャケットを着用しないこと、時間外勤務をしないことと発表。これによりバンクーバー・ダウンタウンとノースバンクーバーを結ぶシーバス(旅客用定期船)が、1日には夕方のラッシュアワーで毎10分から毎15分に減便、2日は20便、3日には16便を欠航した。これまでのところバスの運行は停止されていない。
市長評議会の代表ニューウエストミンスター市ジョナサン・コーテ市長は、組合と企業にすぐに協議を再開するよう要求。「ストライキは多くの乗客に影響を与えている。特に公共交通機関に移動を頼っている社会的弱者への影響が大きい」と懸念を示した。
CMBCによると組合側は、給与引き上げ、福利厚生の充実、労働環境改善に、10年間で6億800万ドルを要求しているという。またコーテ市長は、組合側が組合の要求を受け入れるために、公共交通機関網の拡充計画を遅らせるよう提案していると語っている。
コーテ市長は、組合員が公正な協定を要求することは分かるが、乗客が増加し、環境問題への取り組みの一環でもある公共交通機関の充実を進めているこの時期に、サービス拡充を後退させる提案には応じられない、組合側の要求は理不尽との見解を示した。
組合代表ギャビン・マックガリグル氏は、市長評議会も、CMBCも一方的な情報だけを流していると反論。もし自分たちの要求が受け入れられなければ、運行の完全停止もあり得ると語っている。今週後半にはバスの運行にも影響が出る可能性が高いとしている。
CMBCは、バス・シーバス運転手に対しては4年で9・6パーセント、メンテナンススタッフには12パーセントの賃金引き上げを提案している。
トランスリンクは、今後もストライキによる運航停止などの情報をチェックするよう呼び掛けている。ストライキ情報は、トランスリンクホームページもしくはツイッターで公開している。
協議再開の見通しは立っておらず、ストライキが長引く可能性も指摘されている。