2019年10月17日 第42号
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の州都ビクトリア市で市長や市議が、寄港するクルーズ船への温室効果ガス排出と廃棄物の量を制限する提案を発表した。
大型クルーズ船での旅は世界で人気を博しているが、BC州がある北米西海岸でも根強い人気を誇っている。
中でもアラスカクルーズは人気で、BC州バンクーバーやアメリカ・ワシントン州シアトルを起点に夏には毎週多くの巨大クルーズ船が航行している。
その途中寄港地として人気なのがビクトリア。グレータービクトリア港湾局によると、カナダで最も寄港するクルーズ船が多い港だという。その数は年々増加し、2002年には110隻、約16万人が立ち寄ったが、2018年シーズンには250隻、約64万人に増加したと発表している。
寄港するクルーズ船や観光客が増加すると同時に増えるのがゴミや温室効果ガスである。ビクトリア市リサ・ヘルプス市長らは、寄港するクルーズ船に停泊している間の電力供給を市の職員が調査すること、クルーズ船の環境への影響をビクトリア港湾局が市に報告すること、温室効果ガス排出量と廃棄物の問題が解決するまで寄港するクルーズ船の数を増加させないことなどを提出するとしている。
ビクトリア市は気候非常事態を今年2月に宣言し、2030年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量と吸収量のバランスが取れている状態)の実現を、2050年までに排出量ゼロを目標に掲げている。
今回の市長らの提案は、この目標を実現するために必要な環境政策の一環としての転換に過ぎないとしている。
ただ経済界からは、ビクトリアの経済に大きな影響を与える可能性があるため、市とは協力しながら環境問題を解決する方法を模索していくことが最善として、クルーズ船への規制には反対の声が上がっている。