2019年9月19日 第38号
ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市ケネディ・ストゥワート市長は増え続ける薬物過剰摂取による死亡者を救済するために、法改正が必要との見解を示した。
10月の選挙に向け各党党首がバンクーバー入りする中で、すでに自由党ジャスティン・トルドー党首、新民主党(NDP)ジャグミード・シング党首、グリーン党エリザベス・メイ党首と会談している。総選挙でも薬物中毒患者救済は争点の一つで、特にオピオイドによる死亡者数の急増は全国的な傾向として危惧されている。中でもバンクーバーが突出している。さらに最近ではヘロイン関連でも死亡者が急増していて、ストゥワート市長は早急な連邦政府の対策が必要と訴える。
BC州検視局によると、2016年から2019年6月までの薬物過剰摂取によるBC州での死亡者数は4559人で、そのうち4分の1がバンクーバーで起こっている。カナダ公衆衛生局によると、2016年6月から2018年12月までのオピオイド関連の過剰摂取によるカナダでの死亡者数は1万1577人。
ストゥワート市長は、薬物中毒者に安全に薬物を提供できる画期的で現実的な方法を実施することが、過剰摂取による死亡者数急増を抑える最善の方法と訴える。それは、一定条件で薬物使用を可能にする薬事法の免除で可能になるという。
バンクーバー市は2003年に北米では初めて医療従事者が指導する薬物提供施設「インサイト」を開設した都市で、医師や看護師の指導の下で安全に薬物を摂取することで、感染症などを防ぎ、薬物中毒を完治することを目指している。自由党政権時代に薬事法の免除という形で可能になったインサイトは、2006年から政権を取った保守党が閉鎖しようと試みたが、2011年最高裁判所が保守党の閉鎖政策を棄却し公式のものとなった。
以降全国で同様の施設が開設している。BC州ではさらに8カ所、アルバータ州で8カ所、オンタリオ州で22カ所、ケベック州で4カ所が開設。さらにオンタリオ州で4カ所、アルバータ州で2か所、サスカチワン州、マニトバ州で各1カ所が計画されている。