2019年9月19日 第38号

 ジャスティン・トルドー首相の政権維持に向けた厳しい選挙戦が始まった。トルドー首相は11日に記者会見し、「先ほど(ジュリー・ペイエット)総督と面会し、議会解散を要請、了承された」と語り、カナダは10月21日までの5週間にわたる本格的な選挙戦に突入した。

 連邦選挙法では、公式な選挙活動は最低36日間、最長50日間と定められている。そのため9月22日が最短選挙戦開始日だった。2015年の総選挙の時は70日以上という記録的に長い選挙戦を保守党が仕掛けたが、10年間続いた保守党政権は、この選挙で自由党に敗れた。カナダでは選挙戦が短いほど現政権に有利に働くといわれている。

 自由党は2015年総選挙で、338議席中184議席を獲得し多数派政権を実現した。野党第一党となった保守党は99議席、新民主党(NDP)は44議席、ケベック連合党は10議席、グリーン党は1議席だった。

 自由党が今回の選挙で多数派政権を実現するには、前回ほどの議席数は見込めなくても170議席以上が必要となる。

 現在の各党の議席数は、自由党が177議席、保守党95議席、NDP40議席、ケベック連合党10議席、グリーン党3議席となっている。

 自由党は今年2月に全国紙グローブ&メールが掲載して発覚したSNCラバランスキャンダルで、トルドー首相や首相事務所の意向に従わなかったジョディ・ウィルソンレイボルド議員とジェーン・フィルポット議員を自由党から除名した。こうしたことが響いて議席数を2015年選挙時よりは減らしている。

 保守党は党首選決戦でアンドリュー・シェア党首に敗れたマキシーム・ベニエ議員が離党しカナダ国民党を設立するなどで議席数を減らし、NDPは補欠選挙で議席を失っている。

 一方でグリーン党は昨年から連邦・州議会での得票数が伸びるなど人気急上昇中で、連邦補欠選挙で議席を獲得し現在エリザベス・メイ党首を含め3議席を保有している。

 支持率では自由党が、保守党をややリードしているが、ほぼ互角。現在の支持率から算出された議席数では、両党とも選挙には勝っても多数派政権を実現できる確率は低い。そうなれば、どちらが政権を取るにしてもNDPもしくはグリーン党がカギを握る党となる。

 激戦が予想される今年の総選挙。まずは10月7日英語、10月10日フランス語での党首討論会が注目される。

 

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