2019年8月8日 第32号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの北約120キロにあるリゾート地ウィスラーではこの時期、地元の湖で育ったオタマジャクシがカエルに成長、その後の生息地となる森への集団移動を始める。

 この湖は、ブラッコム山のふもとにあるロスト湖。毎年約4万匹のセイブヒキガエルがカエルに変態後、一斉に移動を開始する。ウィスラー・リゾート地役場(Resort Municipality of Whistler - RMOW)によると、湖岸を走るロスト湖トレイルを横切るカエルの数は、多い時で1時間に1800匹に上るという。数は多いものの、一匹の大きさは10セント硬貨ほどしかなく、トレイルを利用する人や自転車に踏まれるケースが後を絶たない。

 BC州自然保護データセンターが定める、種の絶滅危険度を示すランクのうち、ブルーリストに指定されているセイブヒキガエル。これは、このカエルが環境に影響されやすく、注意が必要な種であることを意味すると、地元のボランティア、ミユキ・ヤマグチ・エスパーダさんは取材に説明している。

 セイブヒキガエルのメスは約1万2000個の卵を産むが、その中でカエルになるまで生き延びられるのは1パーセントにも満たないと、ヤマグチさん。そのため、人々の行動がその生存率をさらに下げるようなことは、極力避けなければならないと語る。

 その対策としてRMOWは、ロスト湖公園の利用を部分的に規制している。具体的には、湖へのアクセス・ロードと駐車場のほか、イベント広場とビーチカット遊歩道が閉鎖された。それ以外のトレイルなども、カエルの移動の状況によっては閉鎖される可能性がある。

 またRMOWは利用者への注意を喚起する看板やフェンス、またカエル用の地下通路も整備している。集団移動は2週間から4週間続き、2017年は8月3日より始まったという。

 

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