2019年7月25日 第30号
携帯電話などのカメラで撮影した顔を、老けさせたり若がえらさせたりするなど、自由かつリアリスティックに加工するロシア製アプリ、フェイスアップ(FaceApp)。インターネット上では大人気のアプリのひとつだが、サイバーセキュリティの観点から、その利用に警告を発する人がいる。
ニューブランズウィック州フレデリクトン市のサイバーセキュリティ会社、ボースロン・セキュリティのデビッド・シプリーさんは、アプリは無料であっても自分の顔にはそれなりの価値があることを忘れてはならないと指摘する。
最近はスマホなどの電子機器のロック解除を、顔認証で行うものも増えてきた。顔という個人情報も保護する必要があることを認識してほしいと、シプリーさん。ハッカーの中には、ある人物の頭部の立体模型を3Dプリンターで作製するために、その人物の顔写真を根気よく集め続ける者もいるという。実際、この2年ほどの間に、顔認証でロックされているアンドロイド携帯がハッキングされる例をいくつも見てきているという。
シプリーさんは、アプリを使用し始める前には、必ず利用契約書に目を通すことを勧めている。彼によると、多くのアプリ提供会社は契約書の中で、収集した個人情報を売買することを宣言している。それはちょうど、子供が野球のトレーディング・カードを交換するのと同じように、当たり前に行われているものだと、シプリーさん。しかし利用者の多くは、まさかそんなことが起こっているとは夢にも思っていないのが現状だ。
ハッカーらはインターネット上で飛び交う顔写真などを集め、本人よりも本物らしいソーシャルメディアの偽アカウントを偽造したり、本人になりすましたりした上で、その家族や友人に様々な詐欺やサイバーアタックを仕掛ける。
たかが顔写真と思わず、その行き着く先をよくよく考えないと後から大変なことになると、シプリーさんは注意を呼びかけている。