2019年3月28日 第13号
SNCラバラン社をめぐるスキャンダルはまだまだ収まる気配を見せない。2月7日に全国紙グローブ&メールが、ジャスティン・トルドー首相と首相事務所スタッフがジョディ・ウィルソンレイボールド前司法長官に贈賄罪に問われているSNCラバラン社を司法取引で不起訴にするよう圧力をかけたと掲載してから1カ月半が過ぎた。
すでに、ウィルソンレイボールド前司法長官は下院司法委員会で約4時間にわたって証言し、トルドー首相事務所ジェラルド・バッツ前第一個人秘書官や枢密院書記長官も証言するなど、収束するかにみえたが、ますます混乱の様相を呈している。
野党は19日、ウィルソンレイボールド前司法長官を再び司法委員会に招致するよう提案したが、自由党が過半数を占める委員会で却下され、これ以上の招致は必要なしとの結論が出された。しかし21日になってジェーン・フィルポット前予算庁長官がカナダの雑誌マックリーンズのインタビューに応え、この件に関してまだ国民に語らなくてはならない真実があると語った。22日には、ウィルソンレイボールド前司法長官が司法委員会で証言した時の内容を裏付けるテキストメッセージや電子メールなどの証拠を同委員会委員長に提出する用意があると伝えている。
しかし23日になって、自由党内から前閣僚2人に対して非難の声が上がった。ジュディ・スグロ議員は、「話したいことがあるなら話してしまうか、そうでなければ黙るかのどちらかにした方がいい」とCBCラジオで主張。24日にはメラニー・ジョリー公用語相がCTVの政治番組に出演し、2人には国会の場を使って自分たちの意見を言える機会があると語り、政治とはチームスポーツで彼女たちがチームとしてプレーしたいと思うかどうかは彼女たち次第、遅かれ早かれ彼女たちが結論を出さなくてはならないと語った。
トルドー首相は、ウィルソンレイボールド前司法長官に2回目の発言機会が必要とは思わないと25日に改めて強調。国民は前回の証言で必要なことは得たはずと語った。
閣僚には守秘義務があり、司法委員会のような場で証言する場合には首相の許可が必要となる。前回の証言機会ではウィルソンレイボールド前司法長官に司法長官としての職務期間内に起こったことに対する発言許可は与えられたが、それ以外は許可されなかった。両前閣僚とも、前司法長官が復員軍人大臣へと降格人事を受けた後にも国民に知らせるべき重要なことが起こっていると主張している。