2019年3月21日 第12号

 予算庁長官兼デジタル政府大臣にジョイス・マレー議員が18日、就任した。ジャスティン・トルドー政権では初入閣。

 マレー長官は、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー-クワドラ選挙区選出。BC州での議席獲得を狙うトルドー自由党にとって、バンクーバー選出のジョディ・ウィルソンレイボールド前司法長官の代わりとなる、今秋の選挙を控えたBC州に配慮した人事となった。

 予算庁長官が空席となった背景には、現在トルドー政権を揺るがしているSNCラバランスキャンダルがある。SNCラバランを司法取引で不起訴にするようウィルソンレイボールド前司法長官にトルドー首相事務所が執拗な圧力をかけていることが明らかになり、ジェーン・フィルポット前予算庁長官がこの件に関する政権の対応に不信感が拭えないとして今月、辞任を表明。1月に就任して約2カ月で辞任した。フィルポット前予算庁長官の辞任は驚きをもって受け止められた。トルドー政権が2015年に発足して以降、重要閣僚を歴任し、首相や他の議員からの信頼も厚い。さらにウィルソンレイボールド前市長法官が辞任したばかりで、女性閣僚の相次ぐ辞任に国民のトルドー政権への信頼も揺らぎかねない。

 マレー長官は、BC州議員から2008年に補欠選挙で連邦議員に当選。2011年に自由党が大敗した時でも、バンクーバーで議席を守った。2013年には党首選に立候補。この時、党首に就いたのがトルドー首相。2015年の自由党政権発足で閣僚入りすると思われていた。

 マレー長官は、トルドー政権に比較的批判的な意見を公言している。自由党が公約していた選挙改革からの撤退や、政府のトランスマウンテン・パイプライン承認・買収を批判したことで知られている。

 就任式後の記者会見でマレー長官は、自由党にとって「この数週間は厳しいものだった」との認識を示したが、党は一丸となっているし、自分がSNCスキャンダルで政権に不信感を持っていることはないと語った。

 

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