2019年1月10日 第2号
ニューファンドランド・ラブラドール州ニューファンドランド島北部の入り江に面した、人口約千人の町ロディクトンで、アザラシがあちこちに出没し、住民がその安全を気にする事態になっている。
同町の住人で、かつてハンティングとフィッシングのガイドをしていたブレンドン・フィッツパトリックさんが取材に語ったところによると、アザラシが町の近辺に出没し始めたのは、昨年の10月ぐらいだった。
しかし最近では、町のいたるところを徘徊し始めるようになっていると、フィッツパトリックさん。車道の真ん中をはい回っているかと思えば、近くを流れる小川を泳いでいたり、ガソリンスタンド脇に積まれた雪山に登ったりするなど、すっかり町の住人となっている。2〜3匹のグループで行動しているアザラシは、合計で20頭ぐらいになるのではと、フィッツパトリックさんは見ている。
そんなアザラシを町人らは、毎日のようにスノーモービルで探しにいったりしているが、アザラシもすっかり人に慣れ、逃げようとはしない。そのため、車などにひかれるなどの事故が起こりはしないかと、フィッツパトリックさんは危惧している。
カナダ海洋漁業省はこの事態を承知しており、推移を見守っているとのコメントを発表。またその中でアザラシは野生動物であり、防衛本能から突然攻撃的になることもあるほか、まれにヒトに移る感染症にかかっている場合もあると指摘。水生哺乳類の行動に干渉することは危険であるほか、違法であると念を押し、現状のままにしておくよう求めている。
町が面している入江は結氷しているため、アザラシが自分たちで海に戻ることはあり得ない。フィッツパトリックさんは、役所がアザラシを海に戻すよう、行動を起こすことを願っている。