2018年10月18日 第42号
地方選挙が目前に迫ったが、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド市の連邦警察(RCMP)は、ソーシャルネットワークを利用した投票の買収活動の捜査に乗り出した。
カナダ温州友好協会(Canada Wenzhou Friendship Society)は6日、その会員347人に対し中国語のソーシャルネットワーク微信(ウィチャットーWeChat)で、中華系候補者に投票すれば、交通費として20ドル支払うとのメッセージを送信した。そこには「地方選挙に多くの人が投票してくれるよう、カナダ温州友好協会は投票した人に交通費として20ドルを支払う」と書かれた上に、「ぜひとも中華系カナダ人候補者の政界入りを応援してほしい」と続いていた。
またリッチモンド市長には郭紅(Hong Guo)氏に投票するよう、また現職リッチモンド市議会議員の區澤光(Chak Au)氏、同市議会議員候補ピーター・リウ(Peter Liu)氏とメリッサ・ツァン(Melissa Zhang)氏にも投票するよう具体的な名前を挙げて、投票を依頼していた。さらに、この要請はリッチモンド市のほかバンクーバー市、バーナビー氏の中華系立候補者にも触れていた。
このメッセージが票の買収にあたる可能性があると判断したリッチモンド選挙事務所からの告発を受けたRCMPでは、重大犯罪捜査課(Serious Crimes Unit ー SCU)がこの件を担当することとなった。また選挙投票に関していかなる形であれ、金品などの報酬を提供するような誘いがあった場合は、速やかに警察に連絡するよう呼び掛けている。
一方、メディアが同友好協会に連絡を取ったところ、対応したボランティアは名前の提供を拒否した上で、6日にウィチャットで金銭提供を申し出ていたことを認めた。さらにこの申し出はその後、違法であると告げられてから取り下げられ、もう存在しないと答えている。
なお、市長候補の郭紅(Hong Guo)氏に関してはこのほかにも、自分に投票してくれると確約してくれた投票者に選挙当日、朝食をふるまうとウィチャット上で発言していることが物議をかもしている。同氏はこれに対し、ウィチャット上で自分のものだといわれている書き込みは、自分が書けない繁体中国語で書かれており、フェイクニュースだと主張している。同氏はこのほかにも、不動産弁護士である同氏の事務所で2016年に起こった、約750万ドルの信託基金が消失した件でBC州事務弁護士会から聴取を受けている。