2018年9月20日 第38号

 アルバータ州エドモントンに住むベン・ケリールークさんとマリリンさん夫婦は、5月5日に同州レッドディアの南で起こったオートバイ事故で、息子夫婦を失った。この息子夫婦には、3歳になるリアム君と6歳のアリエールちゃんがいたが、事故当時はケリールークさん夫妻のもとに預けられており、難を逃れた。

 以来ケリールーク夫妻は、この2人の孫の世話をしてきたが、再び子育てをするとは思っていなかった老夫婦にとって、予定外の出費が家計を圧迫することとなった。2人の孫は高額な補聴器が必要なほか、リアム君にはスピーチセラピーも必要だった。

 そうした費用をまかなうため、ケリールーク夫妻は息子夫婦が大切に保管していたクラシックカー、1973年型ポンティアック・パリジェンヌを売却することにした。ケリールークさんの息子はこの車を、リアム君が18歳になったら譲るつもりだったという。

 「孫たちは車庫の中で、この車を整備していた父親と長い時間を過ごしていた。孫にとっては多くの思い出がつまった特別な車だった」と、断腸の思いで売却を決意した経緯を取材に語るケリールークさん。

 車は8日、オークションに出された。オークション会社の共同オーナーの一人リンゼイ・ペインさんは、ケリールークさんと孫のリアム君のために、できるだけのことをするつもりでいた。この車のせりが始まる前に、会場ではこの車を手放さなければならなかったケリールークさんの事情が説明された。せりが開始されると、この車は2万9千ドルで落札された。そしてその直後、購入者は車を寄付、再びオークションにかけられた。このあとさらに2回、同じことが繰り返され、合計で10万ドル近い売上がケリールークさんのもとに集まった。さらに、最後の購入者も車を寄付したため、車もケリールークさんのもとに戻ってきた。

 「オークションが始まってからの出来事に、信じられない思いだった」とケリールークさん。オークション会社のペインさんも、この予想外の展開に感動、会場全体がもらい泣きするのを目の当たりにしたと語っている。

 「こんな素晴らしいことを起こした車を、もう売ることなどできない」とケリールークさんは話していた。

 

 

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