2018年8月23日 第34号

 連邦保守党アンドリュー・シェア党首は、「多様性・多文化主義」は党にとって重要な政策の一つとの認識を16日、改めて示した。

 さらに、党幹部はチームワークをもって同じ目的で党としての政策に取り組み、国民の信頼を勝ち得て、次期選挙でジャスティン・トルドー政権を倒さなければならないとも語った。

 今回のシェア党首の「多様性」への言及は、12日夜に同党マキシーム・ベニエ議員が示した一連のツイートに対して党の方針を改めて示したものだった。そのツイートの内容は「超多文化主義はカナダのためにならない」というもの。

 ベニエ議員は「トルドー首相の行き過ぎた多文化主義とカルト的な多様性主義は、国民を小さなグループに分けることになる」とし、「これ以上の多様性がカナダを強くすることはなく、むしろ国として強くなったカナダを壊すことになる」などのツイートを繰り返した。

 これに対し、党内ではベニエ議員を幹部から外す必要があるのではないかなどの意見が出ていた。自由党や新民主党(NDP)からは「超多文化主義とは一体何を指すのか」などの批判が噴出した。

 それでもなかなかすぐに対応しなかったシェア党首は、15日にようやく声明を発表。ベニエ議員の発言は、アイデンティティを利用した政略でカナダを二分するものであり、党の考えとは関係ないとの考えを示した。

 そして16日に、サスカチワン州レジャイナを訪問中だったシェア党首は記者団に、改めてベニエ議員の考えは党の方針とは異なることを強調した。

 しかし、ベニエ議員は16日にさらに反論。自分の主張は国民のアイデンティティを明確に示すためのものとツイートした。

 ベニエ議員は2016年に実施された保守党党首選の決選投票で、シェア党首に敗れて党首になれなかった経緯がある。

 以降、本を出版し、その内容がふさわしくないと販売停止にしたり、超多様化主義発言をしたり、何かと物議を醸す言動を繰り返している。

 政治評論家は、来年に控える総選挙へのアピールのため露出機会を増やしているのではないか、多文化主義を否定することで一部の移民に否定的なグループにアピールしようと試しているのではないかと分析している。

 保守党は今週、ノバスコシア州ハリファックスで党大会を実施する。

 

 

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