2018年6月7日 第23号

 カナダ、米国、そしてメキシコのNAFTA3カ国の政府が共同で設立した環境保護組織、環境に関する協同作業委員会が行った調査で、カナダで販売されている乳児製品にも毒性化学物質が含まれていることが、わかった。

 カナダ産や輸入品など、137の対象製品の約3分の2にあたる製品から、カナダなど世界的に使用が禁止されているペルフルオロオクタン酸(PFOA)や、ペルフルオロオクチルスルフォン酸(PFOS)が検出された。

 これらフッ素化合物は、体内のホルモンバランスを管理する内分泌システムを撹乱することで知られている。またこの化合物に長期間さらされることで、がんのほか、肝臓や甲状腺疾患、生殖器へのダメージを引き起こすこともある。

 これら化合物は、衣類に耐水・耐蒸気性を持たせるためなどに使用される。テストされた4種類のすべてのベビーマットやベビーパッド、ブランケットのほか、11種類の子供用ジャケット、10種類のうち9種類の防水パンツ、また20種類の成人用ジャケットすべてからフッ素化合物が検出された。

 消費者の中には、こうした化学物質が含まれていることを知らないまま購入している人がいることが問題だと、オンタリオ州トロントに拠点を置く環境グループ、カナダ環境防衛隊(Canada Environmental Defence)で、毒物に関するプログラムを担当するマハンナド・マラスさんは指摘し、消費者保護の法整備が急がれると語っている。

 一方調査に加わった、ケベック州モントリオール大学の環境科学教授セバスチャン・ソーベさんは、フッ素化合物は比較的毒性は低いものの、衣類の表面などに塗布されることから皮膚との接触や、汗や唾液などに溶けだすリスクが高まるうえ、ひとたび取り込まれると体内に蓄積する傾向があることが問題だと説明している。

 また環境健康問題の専門家エマ・ローマンさんは、自然素材由来のベビーケア製品や、毒性フリーの家具やオーガニックのマットレスを選ぶよう、小さい子供を持つ親にアドバイスしている。自らも二児の母であるローマンさんは、業界が果す役割は大きいとした上で、消費者が正しい選択をしていくことで、生産者も我々のニーズに追随するはずだと語っている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。