2018年6月7日 第23号

 現在激しい選挙戦が繰り広げられているオンタリオ州議会議員選挙戦で、今月7日の投開票を前に、自由党キャリーン・ウィン党首が2日、記者会見で異例の敗北宣言をした。

 ウィン党首は、「州民は6月7日以降、私を州首相として見ることはないだろう」と述べ、結果を待たずにこういうことを言うのは非常に悔しいし、残念だが、これが党にとって最善の方法だと語った。

 自由党はオンタリオ州で2003年から15年間政権を担ってきた。ダルトン・マックギンティ前州首相から2013年に自由党を引き継いだウィン党首にとっては、2014年に次いでこれが2回目の州選挙。前回選挙でも苦しい戦いが予想されたが、結果は自由党の過半数獲得だった。

 しかし、今回の選挙を前に自由党の支持率は大きく下がっていた。要因はさまざま挙げられている。州経済は好調を維持しているが、高騰する住宅価格や電力会社ハイドロ・ワンの売却などで生活費が上昇したことや、進歩保守党(PC)が力をつけてきたこと、ウィン党首自身の不人気などがある。

 このまま選挙を迎えた場合、自由党は8議席未満になる可能性があり、そうなれば公式政党としての資格も失う。自由党が公式政党として生き残るために、敗北宣言をすることで有権者の注意を引き、少しでも自由党に票が集まることを意図としている。ウィン党首は「ダグ・フォード政権やNDP政権がオンタリオ州にもたらす極端な政策を食い止めるためにも、議会に少しでも多くの自由党議員が必要」と記者会見で述べた。

 さらに、現在PCと新民主党(NDP)がほぼ互角の戦いをしている中で、どちらが政権を取るにしても少数派政権となれば、自由党がカギを握る党として生き残っていく方法もある。

 選挙戦はPCとNDPの一騎打ちで、議席数獲得ではPCがやや優勢との世論調査の結果が出ている。しかし実際に開票されてみないと分からないというのが現状。これまでPCが圧倒的に有利とされてきたが、3月に党首がダグ・フォード氏に交代して事態は一変、NDPの勢いが増している。

 6月7日には、カナダ最大州に新州首相が誕生する。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。