2018年6月7日 第23号
ジャスティン・トルドー首相は3日、アメリカのテレビ局NBCの番組に出演し、米国・トランプ政権がカナダの鉄鋼・アルミ製品に対する高関税措置を6月1日から実施すると発表したことを「侮辱だ」と批判した。
「トランプ大統領の関税引き上げ措置はカナダの雇用に悪影響を与えるだけではなくて、アメリカの雇用にも影響する。カナダとしては、そのどちらも起こってほしくない」と語った。
トランプ政権は、鉄鋼・アルミ製品への高関税措置の対象から北米自由貿易協定国(NAFTA)であるカナダ、メキシコを一時的に除外していたが、アメリカが望むような条件に達しなかったとの理由で、6月1日から鉄鋼に25パーセント、アルミニウムには10パーセントを上乗せすると5月31日に発表した。
トルドー首相は、アメリカが国防上の安全を理由に関税を引き上げることに、「カナダがアメリカの国防上の脅威となるという考えは、はっきり言って侮辱的だし、受け入れ難い」と語った。
カナダは対抗措置として、約160億ドルの関税を実施することを検討すると発表。対象品目は広範囲に及んでいるが、特にアメリカ共和党の有力議員が地盤としている州も狙い撃ちする考え。ただし実施は7月1日から。
また5月31日からブリティッシュ・コロンビア州ウィスラーで開催されたG7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議でも議題の中心となり、6月2日の共同記者会見では、議長を務めたカナダのビル・モルノー財相が、多くの問題で7カ国が共通の認識を確認したが、今回G7の国々はあらゆる手段を使ってトランプ大統領に関税引き上げを撤廃するよう説得しなければならない状況に追い込まれたと語った。この問題について、アメリカ対G6の構図が明らかになった。
今月8日からはケベック州シャルルボワでG7(先進7カ国)首脳会議が開催される。トランプ大統領にとって大統領就任後初のカナダ訪問となる。ここでもトランプ政権の強硬な通商政策について意見交換されるとみられている。