2018年5月31日 第22号
いよいよ来週に迫ったオンタリオ州議会議員選挙。ドラマチックな展開で、かなりの注目が集まっている。
27日には最後の党首討論会がトロントで行われた。やはり政権奪取に最も近いとされている進歩保守党(PC)のダグ・フォード党首に対する攻撃が激しく、自由党キャリーン・ウィン党首と新民主党(NDP)アンドレア・ホワース党首から非難や質問が浴びせられた。
両党首はフォード党首が、いまだに党の基本政策を発表していないことを批判。基本政策なしに、州民はその党が政権を取ったとき にどのような州の形になるのか分からない、口約束だけでは州政治は成り立たないと非難した。
これに対してフォード党首は、州財政の立て直しを実現できるのはPCしかなく、予算案を70億ドル間違っていたNDPや、これまでの自由党政権の無駄遣い財政を批判し、経済に強いPCをアピールした。
これまでのところ、支持率ではNDPとPCが互角の争いをしている。世論調査会社メインストリート・リサーチが28日に発表した結果によると、支持率が最も高かったのはNDPで39・3パーセント、次いでPCの37・3パーセント。その差はわずかに2パーセント。メインストリートは今月18日の前回調査に比べて、NDPが10ポイント上昇しているのに対し、PCは5ポイント支持を減らしているとも報告している。自由党はさらに低く16パーセント、グリーン党は4・5パーセントだった。
この傾向は、フォード氏がPC党首に就任してから続いている。PCは今年に入り、パトリック・ブラウン前党首から性的に不適切な行為を受けたと女性2人が告白し、辞任に追い込まれた。そして緊急党首選の末、3月にフォード氏が党首に決定した。その後、フォード党首が独自の選挙戦を繰り広げる中で、徐々にPCの支持率が低下していった。
それまでPCは自由党を大きく引き離し、支持率では独走していた。NDPは自由党を後ろから追っていた状況だった。しかしフォード党首の誕生で、事態は一変。自由党もPCも支持したくない層と党首討論会などで積極的な発言をするNDPホーワス党首への好感度が上がり、NDPがグングンと支持率をあげ、遂にPCまで追い抜いた。
選挙は6月7日。支持率ではNDPがリードしながらも各世論調査会社の予想はPCの過半数獲得。カナダ最大州オンタリオの結果がどうなるのか? カナダ全体が注目している。