2018年4月5日 第14号
2016年5月にアルバータ州フォート・マクマレーで起きた森林火災から避難する際、飛行機の2人分の座席を必要とした男性が、それを機に減量に取り組み、半分以下の体重になった。
この男性は、トニー・バッシーさん(43歳)。当時、森林火災はいったん原油採掘現場から遠ざかったため、バッシーさんら作業員は陸路、現地に戻っていた。しかしその後事態が急変、速やかな避難が必要となり、そのための飛行機が用意された。
空港ではバッシーさんの体格に気づいた航空会社スタッフが、特別に彼に座席をアレンジするため、手続きを待っている人が長い列を作っている中、一番前に呼び寄せた。この時のバッシーさんの体重は567ポンド(約257キログラム)、履いていたズボンのサイズは66インチで、二人分の座席を必要とした。
「ここで搭乗を待っている人たちには、その帰りを待っている家族や友人がいる。しかし自分が座席をひとつ余分に占拠してしまったことで、そのうちの一人の帰宅を遅らせてしまった」と、深く自責の念に駆られたバッシーさんは、避難先のエドモントン市のホテルに到着した時から一念発起、減量に取り組み始めた。
ホテル滞在中は外食するしかなかったが、その時ですらローストチキンは皮を残し、フライドポテトの代わりに野菜サラダをオーダーしていた。そして、ウォーキングも始めた。当時は出かける時、玄関を出て車まで歩くのもやっとだったバッシーさんだが、最初は5分、そして10分と、だんだんウォーキングの時間を伸ばしていった。
彼が取り組んだ減量は、主に糖質制限とハイ・プロテインによるもの。「全て自然のもので、手術のような人工的なものはせず、ひたすら食べるものに気を付け、歩いた」とバッシーさん。現在の体重は241ポンド(約109キログラム)、元の体重の半分以上の326ポンドを減量した。ズボンのサイズも34インチとなった。
一方、このためバッシーさんには20〜30ポンドの余分な皮膚が残った。彼は近々この皮膚の除去手術を行い、その後フィットネスジムに通い始めるつもりだと取材に語っている。その次はマラソンに挑戦し、フォート・マクマレー森林火災の5周年の記念にフルマラソンを完走する計画だ。
もともとニューファンドランド・ラブラドール州ニューファンドランド島北端の小さな漁港、セント・ルネアー=グリキット出身のジェシーさんは、18歳で故郷を後にしてからはあまり里帰りしていない。これも、もとの体重のせいで長距離の旅行をためらっていたからだが、故郷をもう一度見てみたいと話している。
「自分が減量を始めたのは41歳。600ポンド近い体重からの挑戦だったが、ここまでこれた。自分にできたのだから、減量は無理とあきらめているほかの人でもできるはず。」と、バッシーさんは自分の体験が肥満で悩んでいる人の助けになればと願っている。