2018年3月29日 第13号

 カナダ保健省は27日、2017年の薬物中毒による死者が過去最高となるとの報告書を発表した。

 2017年1月から9月までの死者数は2923人。前年同期の2861人から45パーセント増加した。この数字から最終的な死者数は4千人を超えると試算している。

 こうした状況を打開する方法として、連邦政府ジネット・プチパ・テイラー保健相は26日、医師によるメサドンや医療用ヘロインの処方を容易にする新基準を発表した。医師の処方により安全に薬物を手に入れることによって、徐々に依存症から抜け出すことを狙いとしている。

 薬物過剰摂取による死亡者が急増した背景には、オピオイドの一種フェンタニルの急増がある。カナダ国境警察によると違法フェンタニルの密輸が急増しているという。そのほとんどが中国からで、2017年度の第3四半期で1万1497グラムの違法フェンタニルを摘発したと報告している。

 フェンタニルは死亡率が高く、2ミリグラムの摂取で死に至るとされている。2017年の薬物過剰摂取による死亡者の72パーセントがフェンタニルによるものと報告されている。

 早急な対策が必要とされているが、州政府も対策に乗り出しているものの、これまでのところフェンタニル死亡者数の減少となる策は見つかっていない。

 

 

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