2018年3月1日 第9号

 ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー島で、虐待から保護されたペット用のミニブタが、引き取られた里親に食肉のため殺されていたことが、わかった。

 同島のカウチン地域を担当する動物愛護協会(SPCA)が保護したのは、モリーと名付けられた3歳になるベトナム・ポットベリー・ピッグ。その後職員の介護を受け健康を取り戻したモリーは1月19日、同地域の町ダンカンの夫婦に引き取られた。

 しかし、それから約1カ月後、同島でやはりミニブタを飼っているブランディー・マッキーさんが、友人やオンラインからの情報でモリーが里親に食肉のために殺されたことを知った。マッキーさんによると、モリーの里親夫婦はミニブタを適切に飼育する方法がわからなかったので、殺して食べることにしたと語っているという。さらに彼らは、オンライン上のチャットアプリ、スナップチャットにモリーの肉を調理する様子の画像と動画を投稿していた。

 カウチン地区SPCAの職員も、この件にショックを受けている。こうした事態を起こさないために、里親になる人とは十分に話し合いなどを行うようにしているとSPCAの職員ローリー・チョルティクさんは取材に語っている。また今回の場合でも、里親夫婦は「この動物をペットとして飼育し、食用には決してしない」と明記した文書にサインしているという。

 しかし、この書類には法的拘束力はなく、またカナダには動物を虐待することへの刑罰しかなく、ペットを苦しめずに人道的に処分したならば、法に問われることはない。「極端な話、オーナーが愛犬の頭を銃で撃ちぬき即死させたとしても、何ら違法性はないことになる」と、チョルティクさん。SPCAはモリーが処分された状況の確認を警察に依頼したが、特に違法性はなかったとされた。いずれにせよ、SPCAでの勤務歴17年の間で、こんなことは初めてだと、チョルティクさんは取材に語っている。

 またマッキーさんは、ポットベリー・ピッグはもともと食用ではなく、またペットとして扱われた場合の予防接種と、食肉のために飼育される場合の予防接種は異なっており、モリーがもしペット用の予防接種を全て受けていたとしたら、その肉は食用には適していなかった可能性があると指摘している。

 いずれにしても、なぜ里親夫婦はモリーをSPCAに返すとか他の里親を探すなどしなかったのかと非難、さらには人道的でさえあれば、ペット殺しを罪に問えない現在の法体系を糾弾していた。

 

 

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