2018年2月15日 第7号

 ブリティッシュ・コロンビア州ジョン・ホーガン州首相は8日、同州の最低時給を2021年に15・20ドルまで引き上げると発表した。

 現在の最低時給は11・35ドル。これを今年6月1日に1・30ドル引き上げ12・65ドルへ、2019年には1・20ドル引き上げ13・85ドル、2020年には0・75ドルの引き上げで14・60ドル、そして2021年には0・75ドル引き上げて15・20ドルとする。

 最低賃金15ドルの実現は新民主党(NDP)の選挙公約でもある。ホーガン州首相は、もうとっくに実現していなくてはならないことと語り、BC州の時給が低すぎることを他州と比べて主張した。

 現在、BC州より最低時給が高いのはオンタリオ州、ケベック州、ヌナブト準州、ノースウエスト準州の4州。ケベック州は今年5月1日に12ドルに、アルバータ州は今年10月に15ドルに引き上げる。ヌナブト準州はすでに13ドル、ノースウエスト準州は12・50ドル。オンタリオ州は今年1月に14ドルまで引き上げ、2019年1月に15ドルとする。これで準州を除く経済主要州の時給が15ドル近くまで上がることになる。

 しかし急激な最低時給の引き上げは、雇用や経済に直接影響すると危惧する声も上がっている。

 特に中小企業への影響が大きく、就業時間を減らしたり、雇用を削減したりするなどの事業者も増えるのではないかと商工会議所などが懸念を示している。9日にカナダ統計局が発表した1月の雇用状況では、オンタリオ州のパートタイム就業者数が激減したが、先月から14ドルに引き上げられた時給の影響ではないかともみられている。キャサリーン・ウィン党首もすでに対策を講じることを示唆している。オンタリオ州では今年6月に選挙が控えている。

 さらにBC州のメトロバンクーバーでは、不動産価格の上昇に伴い家賃を含む生活費が上昇し、最低賃金をたとえ15ドルに引き上げても、特に若い世代などでは最低限の生活費すら確保できないのが現実との批判もある。

 ホーガン州首相は「遅すぎると思う人たちもいるかもしれないが、中小企業が準備するための期間として設けた」と3年後に15ドルとしたことを説明した。2021年に15・20ドルが実現すれば、BC州の時給が全国で最も高くなる。

 

 

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