2018年1月25日 第4号
台数限定販売の高級スポーツカーを運転中に、ハンドル操作を誤り自損事故を起こした女性が、事故後の処理で様々なダメージを受けたとして、この車を売った販売店と修理業者を訴えている。
この女性は、ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンド在住のジェシカ・リウさん。2015年12月に、20万ドルで購入した高級車アストン・マーティンDB9の 限 定 モデルを、ほぼ購入直後(走行距離は数キロメートル)に自宅そばの大きな石にぶつけ、車の右前面を大破した。
彼女はベーシックな自動車保険にしか加入していなかった。この高級車の修理費は13万5千ドルに上ったが、これは過剰請求だとして支払いを拒否しているため、車は彼女のもとには返されていない。
そんな彼女は昨年末、販売店と修理工場は自分の英語能力のなさにつけ込み、財力をあてこんで共謀して契約違反をはたらいたとして、BC州最高裁判所に訴えを起こした。訴状によると、被告の共謀により原告は以下のような個人的傷害を被ったという。
うつ症状及び恐怖心
パニック症候群記憶のフラッシュバック
一時的な、自殺したくなるほどの精神的落ち込み
体重減少
睡眠障害
自尊心の低下
感情表現にかかわる問題
恥辱の感覚
他人を信頼することへの困難
他人と親密な関係を構築する能力の損失
リウさんは一般損害として『苦痛、苦悩、人生への楽しみの損失、肉体的および精神的不全』に対する補償を請求。さらに特別損害として、カナダと中国の間を行き来した航空運賃代の補償も請求、その額は合わせて30万ドルとなっている。
さらにリウさんは、昨年9月にはアストン・マーティンの英国本社からの修理費3割値引きの申し出を受け入れたものの、被告らはその合意を反故にしたとも主張している。
販売店と修理工場はそれぞれ、リウさんの主張を(修理費値引きの件も含め)すべて事実無根だとして否定する答弁書を裁判所に提出している。また修理工場側は、修理代のうち8万5千ドルが未払いであることも主張し、リウさんの訴えは中傷的で軽率であり、裁判の乱用だと非難している。
さらに販売店と修理工場は、リウさんが両者を中傷していると逆裁判を起こしている。販売店の反訴によると、リウさんは中国語SNSウィチャット(微信)で、同店(MCLモーター・カーズ)は『馬肉をビーフステーキだと言って売る嘘つきで、人を騙すうさんくさい店』などと書き込んでいたという。またこうした書き込みは、バンクーバーが拠点のふたつのSNSウェブサイトにも投稿されていた。