2018年1月18日 第3号

 カナダ銀行が昨年、金利を2回引き上げた影響が徐々に国民の家計を苦しくしている実態が浮き彫りになった。

 調査会社イプソスが昨年12月に実施したオンラインによる調査結果を今月16日に発表。それによると回答した約2千人のうち約半数が、各種料金を支払った後の毎月末に200ドルもしくはそれ以下しか使えるお金が残らないと回答したことが分かった。これは昨年9月に実施された前回調査から8ポイントも増加した結果となった。

 カナダ銀行の金利引き上げは各銀行の金利引き上げに直結する。そのため、住宅ローンやその他の負債を抱える世帯では負担が大きくなる。

 カナダは先進7カ国(G7)で国民の世帯当たりの返済負担率が最も高く、昨年12月に発表された第3四半期の返済負担率は171・1パーセント。カナダ銀行スティーブン・ポロス総裁は、これまで何度も国民に警鐘を鳴らしてきた。

 しかし記録的に低い金利が長い期間続いたため、国民の意識が金利上昇に伴う負担増に追いつかない状況になっていると専門家は分析している。 昨年に引き上げられた影響は徐々に表れ始め、国民もようやく危機感を募らせている状況が今回の調査で明らかになった。

 調査結果では、支払いを済ませた後の月末に手元に残る自由に使えるお金が平均で631ドルある家計が前回調査より15パーセント減少。さらに、12カ月後には借金をしなくては月々の支払いができなくなるだろうと答えた世帯が約半数に上った。40パーセントが借金の額に後悔しているとも回答している。

 カナダ銀行は17日、今年最初の報告書で大方の予想通り金利を引き上げた。今後ますます国民の苦しい家計状況に拍車がかかる可能性が高くなっている。

 

 

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