2018年1月18日 第3号

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバー市のグレゴール・ロバートソン市長が次期選挙に立候補しない意向を明らかにした。自身のフェイスブックで不出馬を表明後、10日には記者会見を開き「人生で最も難しい決断だった」と記者団に語った。

 理由については「個人的なもの」として詳細は語らなかったが、今後は、市だけではなく、州、連邦議会でも立候補するつもりがなく、政界から引退する意向を明らかにした。

 ロバートソン市長は2008年に当時現職のサム・サリバン市長(現BC州議会自由党議員)に勝利し初当選。それまではBC州バンクーバー-フェアビュー選挙区の新民主党(NDP)議員だったが、市長に転身した。その後、2011年、2014年に再選。昨年10月までは4期目を目指して出馬する意向を示していた。

 ロバートソン市長と言えば、バンクーバー市を2020年までに世界一グリーンな都市にすることを目指す環境問題都市計画を積極的に推し進めたことで知られている。バラードブリッジを含む町中に張り巡らせた自転車レーンの設置はその一例で、その他、建物の環境基準の強化などに取り組んできた。

 一方で、市長として改善を公約した住宅問題と公共交通機関については、遅々として進まなかった。特に住宅問題では、2015年までに市からホームレスをなくすと目標に掲げていたが、現実的にはロバートソン市政10年で増加している。住宅価格も高騰し続け、現在は市のほとんどの住宅が100万ドル以上と一般市民にとって手が届かない価格にまで高騰している。

 これについて市長は、努力はしたが目標を達成できなくて残念だと道半ばを強調した。最近になって空室の住宅やホームシェアのエアB&Bに課税するなどの措置を取ったが、市民の中には、市長や市長派のビジョン・バンクーバー党が不動産開発業者とのつながりが強いことを批判している人も多い。

 昨秋行われたバンクーバー市議補欠選挙では、ビジョン候補が5位と惨敗。今年10月20日に実施される市長・市議選でもビジョンの苦戦が予想されている。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。