2017年11月2日 第44号

 7月に米サンフランシスコ国際空港の誘導路を滑走路と勘違いして着陸を試み、寸前に気が付き、着陸を中止して大惨事を免れたエアカナダの旅客機が、また同じ空港でインシデントを引き起こした。

 この便はモントリオール発サンフランシスコ行きエアカナダ781便で、乗客144人と乗員5人が搭乗していた。

 10月22日夜9時過ぎ、着陸に使用されていた2本の平行滑走路のうち、右側の滑走路への着陸許可を管制塔から受けたエアカナダ781便は、最終着陸態勢に入っていた。しかし同じ滑走路に先に着陸した旅客機が、2本の滑走路の左手にあるターミナルに向かう誘導路に侵入するのが遅れ、エアカナダ機が着陸するまでに滑走路から出られない可能性が出たため、管制官は同機に対し着陸を中止、上昇に転じるよう指示を出した。

 しかしエアカナダ機からは何の応答もなく、管制官はその後2分間に計6回、同機に着陸を中止するよう繰り返し呼び掛けたが、同機は滑走路へのアプローチを続け、着陸した。この時までには先行の旅客機は滑走路から出ており、事故には至らなかった。

 着陸後ようやく管制塔にコンタクトしてきたエアカナダ機は、無線機のトラブルだったと報告。しかし管制塔はアプローチ中の同機に対し、無線による着陸中止の指示のほかに赤色のライトシグナルも管制塔から照射して、着陸の中止を指示していた。

 この件に対しエアカナダは、同機は通常の着陸許可を得てその通りに無事着陸しており、着陸後に管制塔から、着陸中止の指示に従わなかった旨を指摘されたものの、パイロットにはその指示が届いていなかったと説明している。

 北米以外では、着陸許可は滑走路に最も近い飛行機だけに、滑走路上に何の障害もないことが管制官によって確認されてからしか与えられない。しかし北米の、特に離発着数が極めて多い大空港では、同じ滑走路へのアプローチを開始した複数の飛行機に対し、順番をつけて着陸許可が与えられることが一般的。今回もエアカナダ機は、先行する旅客機がまだ着陸する前から着陸許可を与えられていたものの、その後の状況変化で着陸を取り消された形となった。

 

 

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