2017年11月2日 第44号
カナダ統計局は10月25日、2016年に実施された国勢調査の結果のうち、先住民族、移民、住宅に関する項目をまとめた報告書を発表した。
移民については、海外生まれのカナダ移民が750万人となり全人口の21・9パーセントを占めた。これは、1921年の国勢調査で22・3パーセントが記録されているが、戦後では最高。統計局は2036年までには、さらに増え、25〜30パーセントに達するだろうと予測している。このうち、英語・フランス語以外を母国語とするのが70パーセント以上。1921年の調査では70パーセント以上が母国語を英語・フランス語としており、完全に逆転した。
前回調査の2011年から2016年の間に新移民となったのは約120万人。2016年の全人口の3・5パーセントを占めた。カテゴリー別では経済移民が60パーセント、家族移民が26・8パーセント、難民移民が11・6パーセント。移民出身地域で最も多いのは、中東を含むアジア圏で61・8パーセント、次いでアフリカ13・4パーセント、ヨーロッパは11・6パーセントと3番目だった。
2016年調査でビジブルマイノリティ(白人、先住民族のカテゴリーに属さない人種)は、770万人で全人口の22・3パーセント、うちカナダ生まれは30パーセントだった。出身地では南アジアが最も多く190万人。ビジブルマイノリティの4分の1を占めている。次いで中国160万人、20・5パーセント、出身地に関係なく黒人のカテゴリーに当てはまる人は120万人と初めて100万人を突破。15・6パーセントを占めた。
また15歳以下の子どものうち、220万人、カナダ全体の37・5パーセントが海外生まれ、もしくは両親のどちらかが海外生まれ。今回の調査では人種分布が大きく変化していることが明らかになった。
また先住民族の人口が急増したことが明らかになったことも今回の調査の特長。167万人が、自身が先住民族と申告。これは全人口の4・9パーセントで前回調査の3・8パーセントから大きく増加。10年間では42・5パーセント増加している。理由としては出生率が高いこと、さらには前回までは先住民族として登録しなかった人たちが自らを先住民族と認めるようになったことが上げられている。
住宅関連では、移民者の定住先としてアルバータ州、マニトバ州、サスカチワン州と、西部カナダへの定住者数が前回調査より大きく増加。安定した経済と住宅事情が理由とみられている。
住宅事情では全国1410万世帯のうち住宅を所有しているのは950万世帯、67・8パーセントで前回調査の69パーセントを下回った。住宅のうち、コンドミニアムで生活する世帯が最も多かったのはブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーで、地区全体の30・6パーセント、次いでアルバータ州カルガリーで21・8パーセント、BC州アボツフォード-ミッション21・5パーセント、同ケローナ21・3パーセント、オンタリオ州トロント20・9パーセントと上位をBC州が占めた。
BC州への移民者は減少傾向にあるという。2001年調査では20・8パーセントだった移民者が、2016年では14・5パーセントに。オンタリオ、ケベック、アルバータに続く。理由は高額な住宅事情と雇用状況。専門家は裕福な外国人の移住に目が奪われがちだが、一般移民者は大金を所持していないため自分たちが定住できる場所に移民する傾向があると分析している。今回の調査でのバンクーバーの不動産価値の平均は100万5920ドル、トロントが73万4924ドル、モントリオール36万6974ドル。全国平均は44万3058ドルだった。