2017年10月26日 第43号

 ブリティッシュ・コロンビア州に住む女性が、フライト中に南京虫(ベッドバグ、bedbug)に噛まれたことに対し、航空会社が謝罪した。

 ヒーサー・ジラギーさんと7歳になる娘、そして婚約者の3人は10日にブリティッシュ・エアウェイズのロンドン行きのフライトに搭乗。その9時間におよぶフライト中、客室内のシートなどに隠れていたとみられる南京虫に体中何カ所も噛まれたという。

 目の前のシートに取り付けられたエンターテイメントシステムの画面の裏から、何匹もの虫が這い出してくるのを目の当たりにしたのは、まったく気分のいいものではなかったと取材に語るジラギーさん。客室乗務員に席の移動をリクエストしたものの、あいにく空きはなかった。

 ロンドン到着後、予約していた宿に着くと同時に衣類を全部、水温を最高にセットした洗濯機で洗うとともに、所持品もすべてポリ袋に入れて消毒したという。3人の体には、無数の噛み跡があった。

 ブリティッシュ・コロンビア大学で昆虫学と毒物学を教えるマーレー・イスマム教授によれば、旅行客の増加とともに、手荷物や預け入れ荷物に潜んだ南京虫が、家から交通機関、そしてホテルへと、人の移動経路上に拡散していくと説明していく。企業とともに南京虫の防虫剤の開発にも携わっているイスマム教授はまた、家庭内での殺虫剤の利用や気候変動なども、この虫の拡散を助長していると指摘する。

 その一方で同教授は、機内での南京虫に必要以上に神経質になる必要はないとも言う。この虫は暗く静かな場所を好むため、普通は家庭やホテルのベッドなどに潜む。また機内に入り込むためには、まず手荷物からはい出て、客室内のカーペットや座席にたどり着かなければならないなど、そう頻繁におこることではないと取材に語っている。

 ジラギーさんは航空会社に電話で、帰りの便は同じ機材にならないよう求めたものの、会社は確約しなかったと話している。これに対しブリティッシュ・エアウェイズの広報課は、ジラギーさんの苦情に真摯に対応するとしながらも、南京虫の問題はホテル業界や航空業界が抱える問題の一つではあるが、年間約28万便を運行している同航空会社では、こうしたトラブルが起きるのは極めてまれだとしている。

 

 

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