2017年10月26日 第43号

 連邦政府は24日、最新経済報告書を発表した。今年3月に発表した予算案時より経済状況が大幅に改善したため、国民への手当充実策を強調した内容となった。

 注目されたのは子供手当拡大の前倒し。政府は2018年7月からインフレ率に合わせた物価スライド制による引き上げを実施する。子供手当導入を開始した2016年当初は同方式の導入を2020〜21年からとしていたが、今回前倒しを発表した。5年で約56億ドルが引き上げ分に必要と試算している。前倒しした理由を政府は経済状況が好調なためと説明している。これにより、現在の政府の指数によれば、2018年には6歳未満の子供一人当たり96ドル、6歳から17歳までは81ドルが上乗せされる。カナダ子供手当(CCB)は世帯の収入により支給額が異なる。

 他には低所得者への課税免除も拡大する。開始は2019年からで、詳細は来年の2018年度予算で発表される。

 今回、政府は中間層への支援拡大を強調した。自由党政権は今夏発表した税制改革案で、中小企業への税優遇制度の抜け道を利用した富裕層への取り締まりを強化する対策を発表したが、それが中小企業者を対象にしているとして批判された。選挙期間中から「中間層支援」を訴えてきた自由党の政策と異なるとも非難された。

 この批判を受ける形で政府は先週、中小企業向け減税策を発表。その直後、ビル・モルノー財相が、自身が代表を務める会社が、まさにその中小企業税優遇制度の抜け道を利用して利益を上げているとの指摘があり、非難の集中砲火を浴びた。その余韻は未だ収まっておらず、ジャスティン・トルドー首相と共に火消しに必死になっている。モルノー外相は、2015年選挙で当選して政治家として活動することを受け、利益相反を避けるための対策について倫理委員会委員長の支持に従った対応をしたと説明。間違ったことはしていないとしながらも、あまりの批判の大きさに、さらに厳しい対策を講じると語っている。

 今回の経済報告書について野党は、モルノー外相への非難から注目を逸らさせるために前倒しで発表した対策だと批判している。この問題はまだしばらく続くとみられている。

 

 

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