2017年9月14日 第37号

 ノバスコシア州ハリファックスの男性が、ポーカー大会で獲得した賞金を全額寄付することにした。

 スコット・ウェレンバッハさん(66歳)が、この夏に参加したのは、スペイン・バルセロナで開催されたポーカースター・チャンピオンシップ・トーナメント。6日間のこの大会には1万7000人が参加、ウェレンバッハさんはオンライン・トーナメントで出場権を得た50人のうちの一人だった。参加料は約50ドル程度、往復の旅費は大会主催者が負担した。

 ウェレンバッハさんいわく参加者の約4分の1がプロという大会の中で、彼は常に全身全霊を傾けて勝負に挑み17位という成績を収め、9万2000ドル相等の賞金を獲得した。しかし彼は、この賞金全額をどこかに寄付することにしたと、取材に語っている。

 ちなみにウェレンバッハさんの職業は、チベット語やサンスクリット語で書かれた仏教書の翻訳。この仕事に携わって30年になるという彼はしかし、寄付の理由は仏教の教えに従ったからではないと話している。彼はポーカーが大好きだが、ポーカーにのめり込みすぎている人や酔いすぎている人、よく勉強しないままプレーする人、また、うまくプレーするにはあまりにマゾヒスティックな人など、ポーカーで逆に困難な状況に陥るような人から巻き上げたお金が賞金となることには抵抗があると語っている。

 また、そういう人間の性は自分を含め誰の中にもあり、賞金を寄付することで「少なくとも、このお金でいいことをした」と自分に言い聞かせ、自分のポーカー中毒を正当化しているのだろうと付け加えている。

 どこへ寄付するかは決めていないと言うウェレンバッハさん。しかし他の宗教と同じく性差別が残る仏教に携わる女性を支援するため、ネパールやチベットの女性修道院への寄付も考えているという。

 

 

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