2017年9月7日 第36号

 自由党政権ビル・モルノー財務相は9月5日、訪問中のブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で記者会見を行い、中小企業を対象にした税制改革について改めてその必要性を強調した。

 記者会見の前に中小企業オーナーとの話し合いを持ったモルノー財相は、意見として今後の参考とするが、税制改革を撤回するほどの意見はなかったと語った。

 モルノー財相が主張する中小企業税制改革は、高額個人所得者が会社を設立し、税金の支払いを逃れているため、こうした税の抜け道を防ぐためのものとしている。

 これはカナダの中小企業法人税が低いことを利用した免税方法で、設立した中小企業に家族の名前を入れ所得を分配し、低い税金ですましているというもの。

 モルノー財相は、法人税が減税され高額個人所得者への所得税が引き上げられて以降、こうした傾向が過去15年続いていると説明した。さらに起業して免税対策をとれる国民とそうでない国民と2種類の国民を作り出している原因とも語り、政府として対策が必要と語った。

 しかし中小企業オーナーからは反発の声が上がっている。会社を辞め起業するリスクを負っている上に、企業で雇用されているほど将来的な保証が大きいわけではないと反論。多くの中小企業オーナーは家族を戦力として雇用している場合が多く、そうした中小企業にとっては死活問題と危機感を募らせている。

 今回の税制改革は7月に提案され、調査期間は10月2日に終了する。モルノー財相とバーディッシュ・チャガー中小企業・観光大臣は、今回の税制改革についてカナダ横断ツアーで意見を聞いている。

 

 

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