2017年8月17日 第33号
オンタリオ州トロント市警察の警察官が、万引き青年を事情聴取した上で、補導ではなく必要な衣服を買い与えた。青年は間近に迫った面接のための服が用意できなかったという。
事件が発生したのは6日夜、同市北部にある大型量販店だった。万引き事件の通報を受け、同僚とともにこの店に向かったナイラン・ジェヤニサン巡査にとって、この手の事件は日常茶飯事だった。
しかし、すっかり後悔の念にさいなまれていたこの万引き青年が盗もうとしていたのが、ワイシャツにネクタイ、そして靴下という、普通の万引き犯が狙うものとは違ったことを知った同巡査は、青年から事情を詳しく知る必要を感じたと取材に語っている。
この青年は、最近一家を支える父親が大病を患い、自分が両親や兄弟のために仕事を見つけなければならないというプレッシャーを感じていたという。そしてサービス業の会社の面接が決まっていたものの、その場にふさわしい服がないまま面接日が近づくにつれ、他の方法を考え付く余裕もないまま、万引き行為に走ってしまったとのこと。
警察の世話になる人は、それぞれ事情を抱えている。もちろんそれによって罪を免れるわけではないが、と語るジェヤニサン巡査。彼はこの青年を警察署に護送する前に、必要な服を彼のために買っておこうと決めたという。売り場に戻った巡査だが、青年のサイズをよく把握していなかったため、結局売り場のマネージャーに、先ほど青年が万引きしようとしたワイシャツとネクタイを出すように依頼。合計で40ドルほどだった。靴下は購入しないことにした。
ジェヤニサン巡査は、これらを直接青年に渡すことはせず、警察署が一時預かった彼の所持品に加えておいた。
この青年に対する訴追は行われなかった。また、このワイシャツとネクタイを着用して面接に臨んだ青年は、見事採用が決まったという。