2017年7月13日 第28号
ノバスコシア州の北、セントローレンス湾で6月下旬、タイセイヨウセミクジラの死骸が発見された。これで同海域で発見されたセミクジラの死骸は7体目となる。場所は、同湾中心に位置するマグダレン島の北。死因はまだ明らかになっていないが、先月には2頭のメスのセミクジラと、4頭のセミクジラの死骸がほぼ同じ海域で発見されている。
海洋哺乳類の保護活動を行っているマリーン・アニマル・レスポンス協会のトニヤ・ウィマーさんは、もしセミクジラが今までの繁殖海域だったニューブランズウィック州とノバスコシア州の間のファンディ湾や、それより南のローズウェー海盆から、セントローレンス湾に生息域を移そうとしているのであれば、この事態の原因を早急に突き止める必要があると指摘している。そのために漁業海洋省が、今回の死骸やマガダレン島に漂着した別の個体の死骸解剖も行うことを望んでいる。
今までに解剖が行われた3体のうち2体は、船舶との衝突による外傷が、残る1体は口腔内とヒレに長期間漁網が絡まっていたことが原因で死亡したとみられている。一時は絶滅の危機に瀕したセミクジラは、今でも生息数は525頭ほどだと推測されている。
セミクジラの専門家の一人は、もしセミクジラの繁殖域が実際にセントローレンス湾に移行しているのであれば、そのことを明らかにした上で漁業関係機関や船舶運輸業界と協力し、セミクジラを守るために航路の変更や漁師へのクジラの存在の周知、また航行速度の制限などを行わなければならないが、それは容易なことではないと話している。