2017年6月22日 第25号

 オンタリオ州西部の人口36万人ほどの都市ロンドンに、使用されなくなったコイン式パーキングメーターを改造した寄付金箱が、設置された。

 「思いやりメーター(kindnessmeter)」と名付けられたこの寄付金箱を思いついたのは、同市に住むリンカーン・マカードルさん。道端などでホームレスの人に直接お金を渡すことに抵抗がある人でも、気軽に喜捨できるようにという思いからだったが、このアイデアはあちこちの都市でも見られる。

 マカードルさんも、このタイプの寄付金箱を同州オタワ市で見かけたのがきっかけだった。それを見た瞬間、これはいいアイデアだと素直に思ったと、マカードルさんは取材に話している。しかし実現までには各方面への働きかけなどが必要で、2年を費やしたという。

 マカードルさんは使われなくなったパーキングメーター5台を仕入れ、鍵を付け直し全体を明るい水色に塗りなおした。地元の救世軍が、メーターに投入されたお金の回収を担当。そのうちの40パーセントは同団体の慈善活動費に充てられる。残りの60パーセントの使い道については、この「思いやりメーター」のフェイスブックでアイデアを募集している。

 またこのメーターは、ホームレスの人たち自身がお金を求めたり、他の慈善団体が寄付を募ったりすることに対抗するようなものではなく、寄付する方法の選択肢を増やしたかっただけだとも説明している。

 メーターの一つが設置された公園では、さっそく通りがかった人が「思いやりメーター」に小銭を入れている姿が見られた。ホームレスに直接お金を無心されるのには抵抗があるが、こういう形で彼らのために寄付ができるのはいいことだと、取材に語っていた。

 

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。