2017年6月22日 第25号

 ブリティッシュ・コロンビア州内陸部の都市、ケローナに住む17歳の少女が17日、同州バンクーバー沖のボーエン島の一周約30キロメートルを、11時間かけて泳ぎ切った。

 エミリー・エップさんは来月、約32キロメートルの英仏海峡横断を計画しており、その準備として、この遠泳を行った。普通の水着と水泳帽、ゴーグルだけという、最小限の装備で泳いだエップさん。まだ冷たい水温や、時に荒れるコンディションで気分が悪くなることもあったというが、途中でやめる気持ちにはならなかったと取材に答えている。

 この日のためにエップさんは、地元のオカナガン湖で競泳仲間と訓練を重ねてきた。それでも彼女の最長水泳記録は6・5時間だった。この日の11時間連続遠泳を終えた翌日、彼女は多少疲れたと話していたが、特に筋肉痛などにはなっていなかったと、母親は取材に話している。エップさんは、これからは来月の英仏海峡横断に向け、練習量を減らして体のコンディションを整えていく。

 彼女が英仏海峡横断を目指すのには、理由がある。自分の挑戦を、彼女の妹が治療を受けている子供用ホスピス、カナック・プレース(Canuck Place)への寄付金集めとして活用してもらうことだ。

 彼女の妹は生後18カ月の時にウィルスに感染、全身まひとなってしまった。当時の状況は深刻で、痛みのコントロールや食事のサポートなど、家族は、その看病に全力で当たっていた。現在15歳を迎えた彼女がカナック・プレースのケアを受け始めたのは、5年ほど前のこと。

 以来彼女の生活の質は劇的に改善、本人が幸せそうに過ごしているのを再び見られるようになった喜びは計り知れないくらい大きく、本当にこの場所は家族みんなの生活を変えたと、エップさんの母親は語っている。

 このことに刺激を受け、ほかの子供たちにも自分ができることを何かしたいと思い立ったエップさん。母親によれば、そのために彼女が水泳を選んだのは自然な流れだったという。

 先週の段階で4千ドルの寄付が集まっている。また、英仏海峡横断のルールや公式タイム測定などを行う英仏海峡水泳協会(Channel Swimming Association)と、バンクーバーの団体が、彼女が集めた寄付金と同額を寄付することを、申し出ている。

 

 

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